[ 2014年6月12日9時30分 ]虫よけスプレーを手に練習場に向かう長友(共同)

 12日にサッカーW杯が開幕するブラジル・サンパウロ州などで、蚊が媒介する熱帯の感染症、デング熱が流行している。英医学誌は、日本戦が行われる北東部レシフェ、ナタルで大会期間中に流行する可能性があると指摘。W杯開催に影響を及ぼす可能性もあるとみて政府が警戒を強めている。

 日本代表の各選手も虫よけスプレーを噴霧して練習に臨んでいる。

 デング熱は、道の側溝や放置タイヤなどにたまって汚れた雨水などで繁殖したネッタイシマカやヒトスジシマカによりウイルスが媒介される感染症で、感染から3~7日後に突然40度前後まで発熱し、対応を誤れば死に至ることもある。

 地元メディアによると、日本戦が行われる中西部クイアバでも患者が続出。クイアバを州都とするマトグロソ州では真夏に当たる今年1~4月に5000人超の患者が発生した。

 日本代表がイトゥ市にキャンプ地を置く南東部サンパウロ州では、イトゥ市に近いカンピナス市で同時期に、過去最悪となる1万7000人超が感染。開幕戦を行う州都サンパウロ市では複数の死者も出た。

 乾期で冬場に当たる大会期間中は蚊の数が減り、患者数も減少する見込みだが、レシフェやナタルなどの北東部は一年中高温多湿。予防ワクチンはなく、当局は「蚊に刺されないように努めるしかない」と呼び掛けている。