[ 2014年5月24日7時31分

 紙面から ]21日、イブラヒモビッチの自伝「I

 AM

 ZLATAN」を手に指宿へ入る香川

 悪童たちから学ぶ!

 日本代表FW香川真司(25=マンチェスターU)が、鹿児島・指宿合宿に世界的に「悪童」として呼び声高いスウェーデン代表FWズラタン・イブラヒモビッチ(32=パリサンジェルマン)の自叙伝を持参。代表ではFW大久保との連係を模索しながら温泉勉強会を予定している。23日に合宿中日を迎え折り返したが、2人の悪童から荒々しいメンタリティーを学び視野を広げていく。

 疲労の色を隠せないほど走り込んだ香川が、ついついこぼした。合宿3日目。イタリア人指揮官のもと、本番を見据えた暑熱対策で連日の2部練習をこなしている。体中が悲鳴を上げ、思わず口を突いた。「マンUでもやったことがないくらい厳しい練習。足はパンパンだし、国それぞれ練習は違うなと思いました。イタリアのクラブには行けないので、イタリアへの移籍は考えていないですね」と冗談っぽく毒づいた。

 5日間の今合宿に、1冊の「バイブル」を持ち込んだ。イブラヒモビッチの自叙伝「I

 AM

 ZLATAN」を「もらったんで読んでる」と移動の飛行機や練習の合間に、読みふけっている。異常なほどの自我や自信を記し、悪童ぶりが盛り込まれた内容に「クレージーだなと思いますね」。クリーンなイメージの強い香川にとって、相反する存在の生きざまは驚きの連続のようだ。

 和製悪童からもアプローチがある。サプライズ選出のFW大久保とは、C大阪時代からの仲だが、代表では4年ぶりにプレー。香川は「キレは代表でも1番。プレーのリズムもやりやすいし、もっともっとうまく連係していきたい」と言う一方、大久保は「昔の真司はガキだったからね」と弟分としてかわいがる。「必ず(香川と)一緒に温泉に行く」と話しており、湯につかりながら「温泉勉強会」で大久保の荒々しさを注入されれば、生きた教材になる。

 高い技術とアイデアで流れるような攻撃を仕掛ける香川は、悪童とはほど遠いキャラクター。だが、しばらくは続く過酷な練習に「自分に打ち勝つだけ」と少しずつぎらついている。悪童から学び、幅を広げれば、W杯での逆境で今までにない香川の一面を、発揮できるかもしれない。【栗田成芳】

 ◆「I

 AM

 ZLATAN

 ズラタン・イブラヒモビッチ自伝」

 日本では12年12月に東邦出版が販売。翻訳は沖山ナオミ氏。悪童を表すかのような口語体で書かれており、いきなりバルセロナ時代のグアルディオラ監督の批判から始まる。その後も生い立ちから移籍の内情などもつまびらかにされており、激しいメッセージが込められる。生い立ちの部分では差別的な扱いを受けていたことも示唆。紆余(うよ)曲折の人生が語られている。