[ 2014年6月9日7時53分

 紙面から ]

 12日開幕のW杯ブラジル大会に出場する日本代表が7日(日本時間8日)にブラジル入りした。合宿地の米フロリダ州タンパからビラコポス空港にチャーター機で到着。拠点となるサンパウロ北西部のイトゥに入った。

 FW大久保嘉人(川崎F)が、サッカー王国で世界を驚かせる。機内では弟分の柿谷と隣に座り、すぐ近くには香川もいた。滑走路上に空港職員らが集まり、歓迎を受けるのを飛行機の窓からのぞき込むように見つめた。「お~。着いた、着いた」。心を躍らせているかのように、つぶやいた。

 “憧れの人”と、同じ活躍をする。初めて見たW杯は94年の米国大会。ブラジル代表FWロマーリオに衝撃を受けた。背の低かった自身と、身長169センチの英雄の姿が重なった。自宅のトイレにもポスターを貼った。今は亡き父克博さん(享年61)と、ビデオテープがすり切れるほど見た。その大会でロマーリオは5得点で母国を優勝へ導き、MVPを獲得。大久保も米国での直前合宿で長男碧人君(8)から「5点入れてね」とせがまれている。

 6日のザンビア戦では、後半ロスタイムの劇的弾で勝利に導くなど、状態は攻撃陣の中で最もいい。「俺は(川崎Fで)点を取ってきたから、ここにいる。(W杯でも)点を取るだけやね」と語り、役割は理解している。9日は32歳の誕生日。王国ブラジルで大活躍する準備は、できている。【益子浩一】