<NHK紅白歌合戦>◇12月31日◇NHKホール

 「第64回NHK紅白歌合戦」のステージでAKB48大島優子(25)が、グループからの卒業を電撃的に発表した。メンバーと一緒に「恋するフォーチュンクッキー」を歌い終えて、自らがセンターを務める「ヘビーローテーション」を歌う直前、突然切り出して、サプライズで卒業宣言した。場内は騒然とした空気に包まれた。3月29、30日の東京・国立競技場コンサートで卒業する見込みだ。

 前代未聞の発表だった。

 大島

 この場をお借りして、言いたいことがあります。私、大島優子はAKB48を卒業します。

 会場が一気にどよめく。

 大島

 こうして紅白歌合戦に出場させていただくのも、これが最後になりました。感謝の気持ちを込めて歌わせていただきます。そして来る2014年も48グループの応援をよろしくお願いします。AKB48、2013年、歌い納めです。紅組、盛り上がっていきましょ~!!

 ヘビーローテーション!

 感極まる感情を抑えながら堂々と表明した。かつて都はるみら紅白で引退した歌手はいたが、紅白の場で突然発表した例はない。衝撃度は1年9カ月前にコンサートで電撃発表したライバル前田敦子(22)に勝るとも劣らない。いや年間最高視聴率を記録することの多い大みそかの国民的歌番組の生放送での発表は、それ以上のインパクトがあったかもしれない。

 歌い終えて司会の嵐二宮和也に「みんなは知ってたの?」と尋ねられたが「(誰も)知ってないです」と答えた。ショックを受けた高橋みなみや指原莉乃らメンバーの大勢が涙したまま「ヘビロテ」を歌った。

 以前から卒業を思案していたが、具体的に決断したのは最近だった。12月17日のAKB48紅白対抗歌合戦のイベント終了直後、国立競技場コンサート初開催が発表された時だ。高橋ら仲間が喜びの涙を流す中、大島だけは複雑なほほ笑みで受け止めていた。瞬間的に自分の卒業場所を定めた様子は明らかだった。あとは発表のタイミングだけだった。

 秋元康総合プロデューサーが後押ししてくれた。今でも握手会人気は断トツのNO・1。関係者からは「大島にやめられるとCD売り上げが大きく落ちる」とささやかれてきた。女優の夢に進みたくても周囲の期待で身動きが取れない。そんな心情を察した秋元氏が責任編集した週刊誌「AERA」の企画で年末に対談した。「抜けた穴は考えなくていい。自分のことだけを考えてタイミングを決めなさい」と言われ、ようやく肩の荷が下りた。

 この日のサプライズ発表は「直前に秋元さんにお話しさせていただきました。秋元さんがNHKのプロデューサーの方と話してくださって、しっかり許可を得て、言わせていただくこととなりました」。

 「2013年は私を育ててくれたAKB48へ恩返しする1年」と言っていた大島にとって責務を果たした上の迷いなき英断だった。【瀬津真也】

 ◆大島優子(おおしま・ゆうこ)1988年(昭63)10月17日、栃木県生まれ。愛称「ゆうこ」。AKB48の2期生で06年加入、チームKでデビュー、現在チームKキャプテン。総選挙の順位は第1回から2位→1位→2位→1位→2位。152センチ。血液型B。