イランでスパイ罪に問われ、11日にほぼ3カ月半ぶりに釈放された日系米国人記者、ロクサナ・サベリさん(32)が共同で脚本を執筆した映画「ペルシャ猫を誰も知らない」が14日、開催中のカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で上映された。

 映画の監督は、サベリさんの婚約者でイラン人のバフマン・ゴバディ氏。ゴバディ氏は上映会場にスタッフらとともに姿を見せたが、釈放間もないサベリさんは晴れ舞台に立てなかった。監督によると、サベリさんはカンヌに来られないことを残念がっていたという。

 映画は、イランの保守的な文化当局者と衝突し、収監される2人のイラン人ミュージシャンの物語。イラン国内での撮影も17日間でゲリラ的に行われ、期間中スタッフが2度にわたり拘束されたという。ゴバディ監督は「この映画が、イランで公開されることは100%あり得ない」とカンヌで表明した。

 監督によると、サベリさんは数日中にもイランから出国する見通しという。

 ゴバディ監督は2000年に、映画「酔っぱらった馬の時間」をカンヌ映画祭に出品。「カメラドール」(金のカメラ)賞を受賞している。