女優松嶋菜々子(41)が25日、都内で行われたTBS系の主演スペシャルドラマ「レッドクロス~女たちの赤紙~」(8月1、2日午後9時)の制作発表に出席した。従軍看護婦を題材にした作品で、中国でも1カ月間の過酷なロケを敢行。撮影で見せた松嶋の振る舞いに共演者らから絶賛の声が相次いだ。視聴率女王と同局「半沢直樹」スタッフが組んだ最強ドラマが完成した。

 5月下旬から行われた中国・北京、瀋陽での撮影は過酷だった。2夜連続ドラマとしては異例の、1カ月の海外ロケ。30度を超す気温に、湿度も高かった。早朝から深夜まで撮影が行われたこともあった。それでも松嶋は疲れを一切見せなかったという。会見で松嶋は「ひとつひとつのシーンを大事に、心を込めて演じました」と話した。

 同作は戦後70年記念のドラマ。従軍看護婦として自らの信念で赤紙を受け取り戦地に赴いた、天野希代という女性の生きざまを壮大なスケールで描く。「自分に何かできることがあれば、何か役に立ちたいという気持ちは、希代と共感する部分だった」。

 撮影現場は、松嶋のプロ魂と気遣いにあふれていた。そんな松嶋の姿にこの日、共演者は賛辞を惜しまなかった。希代の夫役を演じる西島秀俊(44)は「どのシーンも松嶋さんの魂のこもった演技に引っ張ってもらった。舌を巻きました。俳優として興奮して演じることができた」。役柄同様に、松嶋が現場の心の支えになっていた。高梨臨(26)は「つらいシーンを撮っている時、気持ちがつらくなる時にも、松嶋さんがたわいもない話をしてくれた」と感謝。柴本幸(31)も「希代さんの笑顔を見るとホッとした」と明かした。

 現地の食事はほぼ毎日中華料理だった。関係者によると、一時的に日本に帰国した松嶋は、「そうめん」100人前を現場に差し入れたこともあったという。

 同局の大ヒットドラマ「半沢直樹」(13年)を手掛けた伊与田英徳プロデューサー、福沢克雄監督が制作指揮を執る。日本テレビ系ドラマ「家政婦のミタ」で最高視聴率40・0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録した視聴率女王・松嶋との強力コラボだ。TBS系の大型ドラマは00年「百年の物語」以来の出演となる松嶋は「私たちのメッセージをみなさんなりに受け取ってもらえたら」と力を込めた。【上田悠太】