5月に認知症を公表した女優で声優の大山のぶ代(82)の夫で俳優の砂川啓介(78)が26日、都内で、著書「娘になった妻、のぶ代へ 大山のぶ代『認知症』介護日記」(双葉社)の出版記念会見を行った。同書では、8月に撮った妻の写真と介護ノートを公開し、23日の発売後、この日までに10万部を突破したという。

 砂川はタイトルについて「4歳年上なので姉か母のような感覚でしたが、認知症になってから今は僕が料理をしているとそばに寄って来てじっと見ている。子供が母親の料理を見ている感じ。これは娘だなと感じるようになったから」と説明した。出版したのは、公表後、同じ病気と闘う人から勇気をもらったという声が多く寄せられ、勇気を与えられるならと決心したという。

 また、大山の容体については「進んでもいないし、よくもなっていない」と説明した。ただ「物わかりがよくなり、笑顔が多くなりました。子供をあやすというか、同じことを何回やっても笑うような状態がある。夜、寝る時『おはようございます』と僕の部屋に入ってくる。僕が『違うだろ、おやすみだろ』と言い、その後、今度は僕が先に『おはよう』と言うと、ケタケタ笑っていたりする」と紹介した。

 ただ、夫婦の会話については「向こうは一生懸命に話すが、ほとんど理解できない。分かる時もあるが。『うん』と返事をするが本当に分かっているのかというのはある。テレビで『ドラえもん』をやっているよと言っても、あまり反応がない。今日も仕事に出かけると言ってきたが、覚えていないと思う」と語った。

 また、砂川は公表後、気持ちが楽になったと説明した。「覚悟ができました。できるだけそばにいてやろうという気になれました。隠しても仕方ない。1人で背負わない。話すことで助けてくれる人もいる」。さらに「面倒をみる人が優しくならないとだめ。笑顔にならないとだめ。それで向こうも笑顔が増えてきたと思う」。また、「介護の時間以外に自分の時間を持つように」と介護する人にアドバイスもした。

 大山は、7月、キャラクター「モノクマ」の声を担当する舞台「スーパーダンガンロンパ2 THE STAGE~さよなら絶望学園」(12月3日初日)の収録を行った。約1年ぶりの声の仕事。今後の仕事の予定には「できないと思う」としたが「ただ、できたら仕事をした方がいいかもしれない。進行が止まるかもしれないと感じることがあるので」。

 今後については「先のことは分からないです。彼女がこの本を読めるようになって『何でこんな本を出したの』と言ってくれればいい。多分、そういうことはないと思う」。さらに「僕は絶対に認知症になれない。絶対に先に死ねない」と語った。