橋之助あらため8代目中村芝翫(しかん=51)襲名披露の「芸術祭十月大歌舞伎」(26日まで、東京・歌舞伎座)が2日、初日を迎え、夜の部「口上」では、尾上菊五郎(74)が、先月の芝翫の不倫報道をからかい、芝翫を激励した。

 菊五郎が「新芝翫さん、今までのようにキョロキョロするわけにはいきません。3人のお子さんをしっかり育てて…」と言うと、大きな笑いが起こり、あとの言葉が聞こえないほどになった。芝翫も苦笑いし「大きな名跡ではございますが、先祖の名を汚さぬよう、芸道に精進いたす所存」と決意を述べた。

 不倫報道後、芝翫は、妻でタレント三田寛子(50)とともに、釈明、おわびに奔走した。襲名直前の騒動だったが、昼の部はほぼ満席、夜の部も幕見席を合わせて完売になった。夜の部の桟敷席には、新橋の芸者衆がずらりと並び、華やかな幕開けとなった。

 ロビーでは三田が関係者やひいき筋にあいさつする姿が見られ、初日おめでとうございます、と声を掛けられ「ありがとうございます」と笑みを見せた。

 長男国生は橋之助、次男宗生は福之助、三男宜生は歌之助を襲名。昼の部最初の演目「初帆上成駒宝船(ほあげていおうたからぶね)」は、兄弟3人による新作舞踊。三田も客席で見守った。

 「極付幡随長兵衛」「熊谷陣屋」では芝翫に「成駒屋!」「8代目!」などたくさんの声が掛かった。