声優の神谷浩史が6日、東京・新宿バルト9で行われた主演のアニメ映画「傷物語 3 冷血篇」(尾石達也監督)初日舞台あいさつに登壇した。

 主人公阿良々木暦役の神谷は、11年に翌12年公開予定と発表されながら、その5年後になった今、公開されたことを踏まえ「ようやく、僕らと皆さん(観客)の2012年が終わり、めでたく新年を迎えられ、感無量でございます」とあいさつし、観客を笑わせた。

 作品を見た感想を聞かれると「密度がとにかくすごくて、自分がしゃべったところは心あらずな感じ…反省点がいっぱい見えてきてしまうんですけど、皆さん(他の声優)のしゃべっているところは完璧すぎて、嫉妬するくらい、すごい濃密な時間が流れ、あっという間に80分が過ぎる」と語った。

 今作では、神谷が演じる主人公の阿良々木は、桜井孝宏演じる怪異の専門家・忍野メメの力を借りて3人の強敵に打ち勝ち、吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの四肢を奪い返す。神谷はアフレコの際、台本に加え、作家の西尾維新氏の原作本も読み込んでから臨むというが「思い出すと2度とやりたくないシーンばかり。叫ぶシーンが多くて、最後にどうしようもなくなって忍野に助けを求めて叫ぶシーンは、原作の描写は『吸血鬼の叫びで』と書いてある。そんなの、想像もつかない…僕は人間だし。でも、西尾先生が書いている以上、その音を作らなきゃと必死で、肺が破れてもいいと思ってやったシーン」と振り返った。

 神谷は最後に「暦のせりふではないですけど、本当の僕は今日、この日のために声優をやっていたんじゃないかと思えるくらいの気持ち。この作品を完結に導くのが、僕の1つの目標であったように思います。今、目標を失っている状態…これから、どうしたらいいでしょうか?」と感慨深げに語った。

 今後の作品については「この先、どうも続いていくんじゃないか、という雰囲気が漂っています。アニメが終わるのが先か、原作が先か…チキンレース状態。西尾維新先生が原作を書き続ける限り、何かしらの形で映像も付随してお届けできる、万全の体制で僕もいなければならない。暦を構成する声という一部の要素、パーツとして楽しく機能できるように頑張っていきます」と意欲を見せた。

 「傷物語」は作家の西尾維新氏の代表作<物語>シリーズの劇場アニメ作品で「-3 冷血篇」は3部作の完結編。<物語>シリーズは、09年の「化物語」を皮切りにテレビアニメ化され、ブルーレイ、DVD全34タイトルの累計出荷枚数は230万枚を突破している。この日の舞台あいさつには神谷と桜井のほか、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード役の坂本真綾、羽川翼役の堀江由衣が登壇した。【村上幸将】