男装の麗人“ターキー”として人気を集めた元俳優で、映画プロデューサーの水の江滝子（みずのえ・たきこ）さんが１６日午後６時４５分、老衰のため神奈川県内で死去した。９４歳。北海道出身。葬儀は近親者で済ませた。

　１９２８年に創設された東京松竹楽劇部（後に松竹少女歌劇団、松竹歌劇団＝ＳＫＤに改称）の一期生として入団。シルクハットにタキシード姿の「男装の麗人」として人気を集め、ターキーの愛称で親しまれた。３９年に退団後、劇団「たんぽぽ」を主宰した。

　５４年にプロデューサーとして日活に招かれ、浅丘ルリ子さんのデビュー作「緑はるかに」などを製作。５６年、慶応大在学中だった故・石原裕次郎さんを映画「太陽の季節」で世に送り出し、その後も「狂った果実」など裕次郎さん主演のヒット作を製作して日活映画の黄金時代を築いた。

　俳優としても「花くらべ狸御殿」（４９年）、「サンダカン八番娼館・望郷」（７４年）などの映画に出演。ＮＨＫテレビの娯楽番組「ジェスチャー」に、女性チームのキャプテンとして１５年間出演し、お茶の間でも親しまれた。

　９３年に「生きているうちに皆さんの顔を見ておきたい」として、故・森繁久弥さんを葬儀委員長に、芸能関係者ら約５００人を集めた「生前葬」を開き、話題を集めた。晩年は宝石アーティストとしても活動した。

　［2009年11月21日14時3分］ソーシャルブックマーク