浄土宗の宗祖法然を歌った演歌歌手鳥羽一郎の歌詞の表記が不適当だとして、比叡山延暦寺(大津市)を総本山とする天台宗が、歌詞の書き換えなどを発売元「日本クラウン」(東京)に要求し、同社が応じていたことが1日、関係者への取材で分かった。

 同社側によると、曲は「月の黒谷(くろだに)」。ことしが法然の八百年大遠忌にあたることから、法然が修行した延暦寺内にある黒谷青竜寺を舞台に、その人生をイメージして作詞され、10月5日に発売した。浄土宗は制作の監修はしていない。

 浄土宗総長公室によると、発売後に宗派関係者から、歌詞にある「比叡山(やま)は崩れて」の表現が「比叡山といえば延暦寺が想像されて失礼だ」と連絡があり、天台宗と協議。「比叡山」の表記を「山」に書き換えてほしいとの天台宗側の要望を11月初旬に同社に伝えた。同社によると、約6000枚のCDが販売された後だったが「そういった指摘ができなくもない」として同月中旬発売分から書き換えた。

 浄土宗は「宗派内でも1度発売された作品の書き換えを求めることができるのか話し合ったが、天台宗側と穏便にすませたかった」としている。天台宗務庁は「答えられる者が不在」としている。(共同)