ミュージシャンで小説家の辻仁成(55)が14日、自身のツイッターを更新。今月7日にフランス・パリで発生した風刺週刊紙「シャルリー・エブド」本社が武装グループに襲撃された事件について、個人的な見解として、「シャルリーエブドの風刺漫画はあまり好きじゃない」と語った。

 フランス在住の辻は同事件発生当初から逐一、現地の様子をツイート。今回更新されたツイッターでは「表現の自由は絶対守られるべき」と主張し、「あくまで個人的見解」とした上で、「シャルリーエブドの風刺漫画はあまり好きじゃないなり。クスッと笑える日本の風刺漫画の方が好み」とシャルリー・エブド社が掲載した「イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画」について言及した。

 同紙はこれまでにイスラム国などを風刺するイラストで物議をかもし、今回の事件ではフランスを代表する風刺漫画家4人を含む12人の犠牲者が出たことも報じられている。今回の襲撃事件は、表現や言論の自由を脅かす蛮行だとして各方面から非難と怒りの声が上がっており、駐日欧州連合(EU)代表部は公式ツイッターを通じ、「言論の自由への攻撃である」とコメントし、テロ行為を強く非難。ネット上でも表現の自由に関する議論が繰り広げられているが、異論もある。

 特に風刺画に関しては賛否が真っ二つに割れている。フランスの新聞社が福島の原発事故後に、手や脚が3本ある奇形の力士が相撲を取るイラストを掲載したことで、日本で多くの非難の声があがったことも記憶に新しいが、タレントのフィフィ(38)は自身のツイッターでそうした例をあげるとともに、「“言論の自由”とは、相手を尊重する上に成り立つということ。そこが欠如すれば、それは単に罵りや侮辱。差別と偏見、それこそ憎悪しか生まない表現がありと思わない」と持論を展開。もちろん、今回のようなテロ行為については「暴力で脅かす方法が非難されるのは当然」とした上でのことだが、「表現の自由って言っちゃえば風刺で侮辱しようが冒涜(とく)しようが許されるのも如何なものか?」と疑問を投げかけた。

 ほかにも漫画家の小林よしのり氏(61)は13日、自身のブログで「風刺画と侮辱画は違う」とし、「あの新聞の画は侮辱画である」と私見を述べて、「表現の自由に値しない」と批判の声を上げている。