16年ぶりに再結成されたロックバンド、ユニコーンが27日、文字通り「シークレットライブ」を行った。2月18日に特設サイトで観覧希望者を募集。応募3万人中、当選した1800人に横浜市内の集合場所と時間だけを知らせてバスに分乗した。数十分後、到着したのは神奈川・横須賀市のよこすか芸術劇場だった。もったいぶって16年ぶりにファンの前に勢ぞろいした5人は新曲「WAO!」やヒット曲「大迷惑」「ヒゲとボイン」など23曲を歌った。

 ユニコーンの5678日ぶりのステージに幸運にも無料招待されたファンだったが、どこへ連れて行かれるか知らされていなかった。「大迷惑」。いやワクワクする企画だった。横浜市内に午後3時30分に集合し、40台あまりのバスに分乗した。数十分後、チケットが各座席のヘッドレスト上部にシール(縦2センチ、横4センチ)で張られているとアナウンスされる。到着したのは港町・横須賀だった。

 秘密のベールが次々とはがされる。ライブが始まると総立ちになったファンから「おかえり」「久しぶり」などの声援も受けた。演奏が進むにつれてボーカル奥田民生(43)がドラムをたたいたり、ベースのEBI(43)やドラムの川西幸一(49)が歌う。この入れ替わりこそユニコーンの持ち味。メンバー全員が作詞作曲してボーカルをとる、高い音楽性だった。間奏にスーパーマリオのテーマを流すなど笑いのツボも忘れていなかった。

 解散から16年。重ねた年齢もネタにした。「曲と曲の間に長めのインターバルがあるかと思います」「無理にこんなに詰め込まなくてよかったんじゃないか。間違ってもこれより曲が増えることはない。バラードが増えるかもしれない」。奥田は次々笑わせた。

 昨年の新年会でキーボードの阿部義晴(42)が「今、一緒に音を出したらどうなるだろう」と言い出して始まった復活劇。18日に発売したアルバム「シャンブル」は30万枚を突破し、3月2日付のオリコン・アルバムチャート1位を獲得した。

 「若者がCD買わないから売れた。今日はすごくいい練習になりました。本番との境目で貴重だったと思います」。冗談交じりに奥田は秘密の特訓を強調したが、実力は衰えていない。そんなパフォーマンスを約2時間半にわたって見せつけた。【赤塚辰浩】

 [2009年2月28日8時20分

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