「津軽海峡・冬景色」など約2000曲を手掛け、11日に下咽頭(いんとう)がんのために亡くなった作曲家三木たかし(みき・たかし)さん(享年64)の通夜が19日、東京都港区の増上寺で営まれた。3万本の白い花に囲まれた祭壇には、ピアノに座ってほほ笑む遺影が掲げられ、祭壇前には病に倒れるまでの自室を再現。「いつでも帰ってきて仕事ができるように」と、机といす、愛用のギターなどが並べられ、譜面には未完成の作品が残されていた。

 ひつぎには愛犬ミルキィや恵理子夫人(33)との写真、自身で歌唱した最後の曲「さくらの花よ

 泣きなさい」(08年)と妹の歌手黛ジュン(60)のCD、五線紙、犬のぬいぐるみなどが納められた。

 黛は式の後に会見した。三木さんが今年3月に死の告知を受けながら、最後まで創作意欲を失わずに病と闘っていたことを明かした。「意識がもうろうとしても弱音を吐かなかった」。そして「私は兄に褒められたくて一生懸命に歌ってきました。これから先、どうやって歌っていいのやら…」と泣き崩れた。親友の作詞家荒木とよひさ氏(65)も「自分の弱さを1度ももらしてくれなかった。甘えてほしかった」と唇をかんだ。ただ、三木さんはいくつものメロディーを残しており「それでまたいっぱい曲を作れます。急いでいくと怒られそうですから」と泣き笑いで答えた。戒名は「耀功院奏心匡道居士(ようこういんそうしんきょうどうこじ)」。輝かしい多くの功績を残した一生という意味だという。告別式は20日午前10時から同所で営まれる。

 [2009年5月20日8時55分

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