覚せい剤取締法違反で逮捕状が出ていたタレント酒井法子容疑者(38=本名・高相法子)が8日夜、逮捕された。容疑は3日午前に覚せい剤0・008グラムを所持していたというもの。容疑の認否には、あいまいな供述をしている。夫の自称プロサーファー高相祐一容疑者(41)が同法違反で3日未明に逮捕されて以降、行方が分からなくなっていたが、5日と18時間に及ぶ逃亡劇は幕を閉じた。自宅からは大量の吸引用ストローも見つかり、覚せい剤の使用や入手ルートについても調べを受ける。

 酒井容疑者は同日午後7時55分、東京都文京区の富坂署近くの警視庁富坂分庁舎に出頭した。薬物事件を担当する部門が入っており、夫の弁護士、親族と一緒だった。警視庁は弁護士を通じて出頭を要請しており、前日の午後4時ごろ、弁護士から「酒井容疑者を警視庁に出頭させたい」と連絡があったという。

 出頭から約1時間後、覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで逮捕された。容疑は8月3日午前、港区南青山の自宅マンションで、アルミ箔(はく)片に包まれた覚せい剤0・008グラムを所持していたというもの。酒井容疑者は、逮捕状を見せられると「うん」とうなずいたが、覚せい剤が部屋にあったと言われると「詳しくは覚えていませんが、あったとすれば間違いありません」とあいまいで、認めているのか否認しているのか、判断できない答えだった。

 午後9時半すぎ、渋谷署に移送された時には、紺色の半袖姿で、3列あるシートの一番後ろにうつむいて座っていた。アイドル、女優とさまざまな分野で活躍した姿とはかけ離れていた。

 警視庁によると、覚せい剤と数十本の吸引用ストローが見つかった。化粧ポーチにも入っていたが、探さなくてもすぐに見つかるほどの量だった。ストローに付いた唾液(だえき)のDNA鑑定が酒井容疑者の型と一致、日常的に使用していたと思われる。渋谷署では尿の本検査を行った。結果が出るまでに3日ほどかかるという。今後は入手ルートも取り調べる。

 警視庁は4日に親族から捜索願が出されるより早い段階から、覚せい剤所持の疑いがあるとの見方を強め、捜査を進めていた。疑いを持った発端は、高相容疑者の現行犯逮捕に立ち会った時の応対ぶりだった。渋谷の道玄坂路上で3日未明、高相容疑者が職務質問を受け、下着に隠していた袋の中身が検査で覚せい剤と特定されると、酒井容疑者は泣き崩れた。任意同行や尿検査を求められると「絶対に嫌です」と強く拒否、「任意ですか、強制ですか」と警察官に詰め寄った。そして「子供を預けているので」と、一緒に駆け付けた男性と車で立ち去ってしまった。

 長男(10)と一緒であると思われたため2人の発見に全力を挙げる一方、酒井容疑者については捜査を開始した。6日夜、長男が都内の知人に預けられているのを確認すると、警視庁はその日のうちに酒井容疑者の逮捕状を請求した。

 連絡を絶って以降の足取りについて、酒井容疑者は「言いたくない」と話しているという。亡くなった父の再婚相手と、その交際相手と一緒だったという情報もある。山梨県身延町では4日午後3時ごろに携帯電話の電波が確認されているが、同県は再婚相手の故郷で親せきもいる。出頭前は都内の関係者の家にいたようだが、山梨県にいたのかどうかについても調べられる。

 [2009年8月9日9時43分

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