覚せい剤取締法違反(所持、使用)の罪で起訴された女優酒井法子被告(38)と夫で自称プロサーファー高相祐一被告(41)の事件の舞台ともなった別荘のある千葉・勝浦市の部原(へばら)海岸は23日までのシルバーウイーク、多くの人が集まった。1つは連日、サーフィンには絶好の波があったことだが、もう1つは事件により別荘が観光スポット化したためだった。純粋にサーフィンを愛する人々には、複雑な思いが残った。

 シルバーウイークの5連休の部原海岸は、サーファーにとって最高の波が続いた。海岸沿いのサーフショップ店長は「365日で、わずか5日あるかないかというほどのベストな波が来ている。皆、ここぞとばかりに海に入って、1日中出てこないでしょ」。うれしそうに目尻を細め、サーファーたちが集まった海を眺めた。ただ、その一方で「火災がなければ本当に幸せな連休でしたよ。シャレでは済まない問題だから、急きょ防犯報知器を購入してきて、設置しました」と、不安そうにつぶやいた。

 高相被告は部原海岸に道を挟んで建つ別荘で覚せい剤を所持したとして起訴された。酒井被告が高相被告の逮捕直前に訪れたともみられている。日本有数のサーフィンの町はこの1カ月半、「のりピー事件」と、放火とみて捜査中の別荘火災に揺れた。

 連休初日の19日、スポーツショップ主催で19年目を迎えたサーフィン大会が開催された。担当者は「サーフィンのメッカ、部原海岸で19回も大会を続けてきていることは誇りです。だから一連の事件によるイメージダウンは、非情に遺憾。来年の20回記念大会を盛り上げて、もう1度イメージを回復したいと思っています」と話した。

 「ピンクのドラッグハウス」などと呼ばれる高相被告の別荘には、夫婦の逮捕以来、多くの観光客が連日訪れては記念撮影を行った。ドライブ途中に立ち寄ったり、わざわざ見物にくる人も絶えない。いたずらか、家の前の壁や入り口に大きく落書きをされたこともある。穏やかな日々が遠のいた近隣住民にとって悩みの種となっていたが、火災はそれに拍車を掛けた。

 海岸のサーファーのクラブハウス経営者は「今回の事件を受け『サーファーの家なんか火を付けちまえ』のノリでやった犯行だったら一番怖い。今回の事件は無関係じゃない気がして…」と、恐怖心を語った。近隣住民だけではない。都内からサーフィンに訪れていた男性は「サーファーイコール覚せい剤と思われたら、あの人たちの責任だと思う。海を愛してるなら海の中で気持ち良くなればいいのに。薬なんてなくてもサーフィンは楽しいのに!」と憤った。

 [2009年9月24日9時47分

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