【ロサンゼルス1日(日本時間2日)=瀬津真也】国民的グループのAKB48が、世界の壁に当たり、初心を取り戻す刺激を受けた。この日、開幕した北米最大のアニメ博覧会「アニメ・エキスポ2010」のメーン会場で特別ライブを開催。ファンを大いに盛り上げたが、7100人収容の会場に詰めかけた観客は約3000人。まだ、米国では大会場を埋め尽くすほどの認知度ではない現実を知らされた。

 厳しい現実だった。国内では秋葉原に専用劇場を持ち、「いつでも会いに行けるアイドル」として、国民的人気を獲得したAKB48だが、初のロス公演の客入りは半分にも満たなかった。高橋みなみ(19)は「ステージに立って客席を見たら埋まってなくて、アチャ~ってへこみました」と素直に話した。

 日本では総立ちになる客席もこの日、熱狂したのは中央エリアだけで、両サイドの観客は着席していた。前田敦子(18)は「一生懸命に手を振って、必死に盛り上げました」。平日の午後という条件の悪さもあったが、グラミー賞授賞式も行われるロサンゼルス最大の劇場を超満員にする認知度は、まだ今のAKB48にはなかった。

 ただ、秋元康総合プロデューサー(54)は前向きだった。「05年12月8日に秋葉原の劇場でデビューしたときと一緒ですよ。あのときの観客7人から、毎日の公演で客席を埋めていった。まだ、米国は昨秋のニューヨーク1回だけ。会いに行くように、海外にももっともっと進出して、初めて満員になるもの」。さらに「米国ではパワフル&セクシーが主流ならば、我々は違うタイプとして勝負できる。今回もお客は誰も途中で帰らなかった。ここからリピーターが付き、評判が広がる」と納得していた。

 AKB総選挙1位のリーダー大島優子(21)は「私たちはまだまだと知れたことと、必死に皆を盛り上げようという気持ちになれたことがよかった」。2位の前田も「2年前までは、日本でもこんな空席でした。次回は、もっと埋めてやるって気になりました」とプラス思考だ。大ブレークで、環境が激変した今だからこその原点回帰。メンバー16人は、大きな収穫を胸に帰国する。

 [2010年7月3日7時55分

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