俳優渡哲也(69)率いる石原軍団が14日、東日本大震災の被災地、宮城県石巻市で炊き出しを行った。会場となった同市中央公民館駐車場には約2800人が集まり、つかの間の元気を取り戻した。舘ひろし(61)徳重聡(32)宮下裕治(35)池田努(32)金児憲史(32)も参加し、神田正輝(60)は17日から合流するという。渡も一日中、焼きそばの鉄板の前に立ち続けた。炊き出しは20日まで行われ、7日間で合計約1万4000食が配られる。

 満を持して宮城県石巻市に乗り込んだ渡は、炊き出しの会場を見る前に、被災状況を自らの目で確かめた。「悲惨以上の言葉もない。(この炊き出しで)少しでも元気になってほしい」と力を込めた。さらに「(震災後)1週間以内には入ると決め準備をしていましたが、道路が通れなくなってしまった。不屈の精神、忍耐力で決して諦めず、復興するまで気持ちを持ち続けてほしいです。今後も(炊き出しを)継続的にやっていきたい」と続けた。

 会場選びには、スタッフが各県の被災地を5回にわたって回り、慎重に下見を行ったという。同会場を決めた帰りに、2回目の大きな余震に遭った。復旧していた水道は再び止まり、小林正彦専務は「一時は炊き出しは無理かと思った」と振り返った。水道が止まったため、95年の阪神・淡路大震災の炊き出しの際にも水を提供してくれた宝酒造に連絡を入れ、OKが取れたという。水を積んだ10トントラックを運転してきた宝酒造宣伝グループの清水隆広さん(42)は「阪神・淡路大震災の時も経験しているので、今回も必ずくると待っていました」と快諾。京都本社から約16時間かけて到着した。

 「石巻げんき食堂」の看板を掲げた炊き出し会場には、予想を上回る約500人の行列ができた。当初の開場時間を15分早め、午前11時15分から、中央公民館に避難してる被災者170人から順番に提供した。

 メニューは日替わり。徳重が担当するカレーライスや舘が作る特製ぜんざいなど14種類が並び、石原軍団全員で出迎えた。渡も朝から鉄板の前に立ち続け「被災者の方に比べれば熱いだの疲れたなんて言ってられない。少しでも明日へ進む力になれば」と励ました。

 同市内で暮らす女性(69)は「家の1階まで津波が押し寄せたけど命が助かってよかった。45年間渡さんのファンで会えてよかった」と握手できたことを喜び、焼きそばをほおばった。

 小林専務は「ただ乗り込んで来たのではなく、少しでも被災者の近くでやろうと思った」と話す。渡をはじめとするスタッフは全員、公民館横の旧議会堂に寝袋を持ち込み寝泊まりしていることも明かした。

 会場には地元ボランティア45人が協力、地元企業の日本製紙石巻の社会人野球部15人や婦人会も参加し、野球部監督は交通整理などにあたった。

 仙台市でドラマ「西部警察」のロケを行った時には、石原裕次郎さんが軒先を借りたという。渡は「その恩返しをしたい」と力強く誓った。【荒木俊晴】