今年の「NHK全国合唱コンクール中学校の部」の課題曲「証」を歌う4人組ロックバンドflumpoolが12日、宮城・Zepp

 Sendaiで同コンクール宮城県大会に参加する中学生を招待して応援ライブを行った。多くの生徒がライブ初体験。仲間との絆を歌った同曲を生徒たちと合唱したメンバーは「密度の濃いライブで生徒の笑顔に勇気づけられた」と、感無量の様子だった。

 ♪溢れだす涙

 拭う頃

 君はもう見えない

 想う言葉は“ありがとう”

 ボーカル山村隆太(26)と宮城大会に出場する167人の生徒たちの「証」が会場に響き渡った。山村は涙をこらえて「大変な時期にありがとう。逆に元気をもらいました」と生徒に「ありがとう」を連呼した。

 課題曲は、山村が作詞した。震災前に完成した楽曲だが、仲間との絆を歌った詞は、被災地の生徒たちの背中を押した。津波の被害を受けた名取市立閖上中学校は、3年生45人で今大会に出場。中学2年のころから今回の参加を決め楽しみにしていた。しかし、津波で7人の仲間を失った。練習熱心でアルトパートを引っ張ってくれた友、ソプラノ、テノールを担当していた友…。その仲間たちはもういない。

 同中学校の遠藤真裕子さん(15)は「この曲は前向きな気持ちになれて、私たちのためにあるような曲だと思いました」。小斎七海さん(15)は亡くなった仲間の携帯電話メモリーを今でも消さずに残している。「全員で卒業しますから」と話し「みんなで初めてライブを見て、生きていたらいいことがあると思いました」と涙を浮かべた。

 山村は大学時代、英語の教師を目指し中学校の教育実習も経験した。実習最後のホームルームで生徒の前でオリジナル曲を歌い、生徒が感動したことを機に音楽の道を志した。山村は「教師として若い子に何かを伝えるということをしたかったが、今、音楽を通して出来ている。自分の生きる意味がそこにあると思う。この曲を通して『自分は1人じゃない』と思ってもらえたら。みんないい笑顔をしていて、自分たちも勇気づけられた」と話した。

 終演後は、メンバー全員が参加生徒にお守りを手渡した。泣きだす者もいた。flumpoolが中学生に贈ったライブのプレゼントは、メンバーの思い、エールが167人の生徒に届いた「証」でもある。【岩田千代巳】