<連載「気になリスト」(11)>

 公開中の映画「少年H」で、Hこと肇役を演じている吉岡竜輝(12)の将来の夢は、歌舞伎俳優だ。

 「歴史が好き。初舞台が歌舞伎だったので、歌舞伎役者になりたい。でも、この年だし、もう部屋子の誘いはないと思う。だからもうちょっとある程度まで待って、部屋子の話が来なかったら、国立劇場(歌舞伎俳優研修所)に入りたいです」

 中1とは思えない落ち着いた話しぶり。母の吉岡由加さんからは「養成所からだと将来、食べていけるか不安」とOKはもらっていない。上方歌舞伎の人気俳優として活躍する片岡愛之助も一般家庭に育ち、部屋子として出世した。

 「歌舞伎の家に生まれなくても、あんなに成功して、あこがれますよ。でも、愛之助さんは部屋子になれたから。養成所からだと、歌舞伎俳優になれても、主演はあきらめています」

 現実も知っている。吉岡は06年、人見知りを克服しようと、2歳下の弟翔馬君と、松竹芸能ジュニアタレントスクールに入った。俳優志望で、将来に役立つからと、兄弟漫才にも挑戦している。スクールに通いながらも、学校の勉強は通信教育でも学び、成績優秀。

 「美術とか実技系だけが唯一(5段階の)3。歌も音痴です。でも、ほかは4以上!

 学校の友達から『いつ勉強してんの?』って聞かれるけど、家ではゲーム禁止なんで」

 好きな歌舞伎俳優の勉強を続けるため、自主的に学校の勉強にも取り組む。それでも「ゲーム禁止」は不満なようで「大人になったら、一番にゲームを買います」と、子どもらしい一面も見せた。好きな芸能人には「嵐、AKB48」と即答。とりわけ櫻井翔、渡辺麻友が好き。同作の撮影中、別現場にいた櫻井と初対面した。「でも僕、緊張したら、しゃべれなくなるので、気をつけ!

 したままでした…」。まゆゆについて聞くと「めっちゃかわいい」と照れて笑った。大人と子どもが同居した12歳だ。【村上久美子】

 ◆吉岡竜輝(よしおか・たつき)2000年(平12)10月15日、神戸市生まれ。06年から松竹芸能ジュニアタレントスクールに通い、07年、南座吉例顔見世興行の「義経千本桜」で初舞台。以来、歌舞伎の舞台のほか、NHK「カーネーション」などにも出演。今年8月には弟翔馬と兄弟漫才も披露。趣味は歌舞伎、歴史、電車、日舞。血液型O。身長は143センチで「1年5センチぐらい伸びている」。

 ◆部屋子(へやご)

 歌舞伎で、子役の頃から幹部俳優の楽屋に預けられ、楽屋の行儀から舞台の芸など、役者として必要なことを仕込まれる立場。御曹司ではないが、幹部候補生として英才教育を受ける。