発明家のドクター・中松氏(86=本名・中松義郎)が26日、都内で記者会見し「前立腺導管がん」であることを公表した。昨年12月に受けた健康診断で発見され、医師からは「余命は来年末まで」と宣告されているという。

 中松氏は、前立腺導管がんは治療が難しいと明かしたが、「健康に留意すれば人の寿命は最大144歳まで可能と論文を書いた私の命が終わる。大変ショックだった」と話した。一方で「新たな治療法の発明にかけたい」と、前向きにがんを克服するための発明に取り組むことも語った。

 治療法に加え「がん治療ロボット」の発明も目標に掲げた。さらに、発明法を伝授するための講義や、がんで苦しむ人のために募金活動をしていくことにも意欲を見せた。

 26日は、中松氏の86回目の誕生日だった。中松氏は、あえてこの日に会見した理由について「世のため人のためになることを告知しようと思った」とはっきりした口調で語った。

 中松氏は灯油ポンプなどの発明で知られ、フライングシューズなどユニークな発明も多くしてきた。

 91年から都知事選に7回、国政選挙にも7回出馬したがいずれも落選した。11年の都知事選出馬時には「当選するまで出馬する。144歳まで寿命は延びる。あと10回以上出馬できる」と話していた。今年2月の都知事選では、「東京都民を世界で最も幸せな人にする」「東京を発想力で生き返らせる」などを公約に掲げ、6万4774票を獲得した。

 ◆ドクター・中松(なかまつ)本名・中松義郎。1928年(昭3)6月26日、東京生まれ。東大卒。三井物産入社後、29歳で独立。公式サイトによると5歳で最初の発明。「灯油ポンプ」など3200件以上の発明をしてきたという。現在ドクター中松創研代表取締役など多数の肩書がある。2005年には人を笑わせる研究で科学への関心を高めた功績に贈られる「イグ・ノーベル賞」を受賞。