映画「舞妓はレディ」で舞妓(まいこ)を目指す少女を演じた上白石萌音(かみしらいし・もね=16)が初の舞台主演に挑む。「みえない雲」(12月10~16日、東京・三軒茶屋のシアタートラム)で、歌あり踊りありの同映画から一転、原発事故で家族を失うドイツ人少女を演じる。

 「舞妓はレディ」以来の芝居。飢えていた気持ちを満たすような稽古が続いている。「やっとお芝居ができるので楽しくてたまらない」と目を輝かせた。

 作品は社会派。役はドイツ人少女ヤンナで、ストレートプレー(歌のない芝居)も初めて。難しいことばかりだが、自分で考えて行動する主人公の強さに支えられている。「こういう人になりたい。私が大人になるためにやらなきゃいけない役」。

 「舞妓はレディ」の周防正行監督にも、大人への1歩を踏み出した姿を見せたいという。きりりと語っていたが「でも意識しちゃうので、いらっしゃる日は分からない方がいいなあ」。と、少女らしいはにかみも見せた。

 公演は期末テストと重なったものの、中間テストは好結果で成績は上位をキープしているという。「勉強は嫌いじゃない。世界史とか何の役に立つんだろうと思っていましたが、今回チェルノブイリ(原発事故)のことが出てきて教科書を見直したり。今やっていることはきっと何かの役に立つ」。何事にも前向きだ。【小林千穂】