テレビ朝日系人気ドラマ「相棒」の新作映画「相棒-劇場版3-」(和泉聖治監督)が、来年ゴールデンウイークに公開されることが10日、分かった。2000年(平12)の放送開始から、14年の歴史で初となる絶海の孤島を舞台に、水谷豊(60)が演じる警視庁特命係の杉下右京と、成宮寛貴(30)演じる甲斐享が、密林のあふれる大自然の中で怪事件に挑む。今年10月から、テレビシリーズ最新作の「相棒

 season12」が放送されることも決まった。

 杉下右京が主人公の「相棒-劇場版-」最新作が満を持して銀幕に帰ってくる。4年ぶりとなる今回は、昨年10月から2クール放送された「season11」から相棒になった甲斐が初めて劇場版に登場する。

 物語は、東京から300キロ離れた太平洋の孤島で、男性が馬に蹴られて死亡したという小さな記事を、特命係の2人が見るところから始まる。ありふれた記事だったが、甲斐の父で警察庁次長の峯秋(石坂浩二)から密命が下る。それを2人に伝えるのは「season10」まで右京と相棒を組んだ及川光博演じる、警察庁長官官房付の神戸尊で、成宮と及川の新旧相棒の登場になる。

 撮影は5月16日に沖縄県那覇市から車で約3時間の人里離れた場所で始まった。密林、岩礁、断崖、滝に加え、梅雨入りと重なりスコールが降る過酷な環境だ。その中、2人は川の中を、上半身まで水しぶきが飛び散るほどの猛ダッシュで駆け抜けるなどアクションに挑んでいる。一方で、密林の獣道をスーツ姿のまま優雅に下った右京が、川縁で紅茶をすするなど「相棒」らしいシーンも盛り込まれているという。

 松本基弘ゼネラルプロデューサーは「右京さんという“名探偵”が謎を解く原点に立ち返る」と強調する。舞台の孤島は元自衛隊員たちが共同生活を送っている上、妙なうわさも流れる、いわば密室。映画ならではの壮大なスケールでの密室殺人に右京と亨がどう挑むか。「相棒」を代表する脚本家・輿水泰弘氏が紡ぎ出すストーリーの展開も注目される。

 撮影が進む中、水谷は「今回で映画が3本目。こんなことがあるんだとすごくうれしかったですね。さらに洗練された作品になると思います。タイムリーなテーマで社会的であり、エンターテインメントとしても楽しめます」と意気込みを見せている。成宮も「感無量。ドラマの撮影中にも『映画みたい』と豊さんと話をしているくらいですが、映画の撮影に入ると今日はヘリコプター、昨日は船での撮影。もっとスケール大きかった」と振り返り、完成を心待ちにしている。

 ◆「相棒」

 杉下右京警部(水谷)は、東大法学部卒業後、キャリアとして警察庁に入庁して警視庁捜査2課に出向するも、出世に背を向け窓際の特命係に追いやられる。その右京と、特命係に左遷された刑事が難事件を解決する物語。00年6月にテレビ朝日系「土曜ワイド劇場」で単発ドラマとして放送し、02年から連続ドラマ化。寺脇康文演じる初代相棒の亀山薫は、08年12月17日放送の「season7」第9話で卒業し、09年3月18日放送の最終19話「特命」から及川光博演じる神戸尊が登場。