毒舌を続けるトランプ氏は、映画スターも“口撃”した。ドナルド・トランプ次期米大統領(70)は6日(日本時間7日)、自身のツイッターでアーノルド・シュワルツェネッガー前カリフォルニア州知事(69)について言及。自身がホスト役を務めていた米リアリティー番組の視聴率が、シュワルツェネッガー氏がホスト役を引き継いだ今週の初回放送で下がり、「彼の完敗だ。もはやこれまでだ」などと切り捨てた。

 ツイッターで政策を一方的にまき散らし、政財界を困惑させているトランプ氏。日本では「シュワちゃん」と呼ばれ、知名度が高いシュワルツェネッガー氏も、その“毒牙”にかかった。

 シュワルツェネッガー氏がホスト役を引き継いだ米リアリティー番組「セレブリティ・アプレンティス」(NBCテレビ)は、今週に初放送された。その視聴者数は490万人で、トランプ氏の前シーズン初回の650万人を下回った。

 トランプ氏は最初のツイッターで「ワオ、シュワルツェネッガーの完敗(あるいは惨敗)だな、視聴率マシンの私に比べると。もはやこれまでだ…」と記した。さらにその8分後、「映画スターとしても。今回は(自身が担当した)シーズン14と比べたが、私のシーズン1とも比べよう。でも別にどうでもいいか。彼は(民主党候補の)ケーシックとヒラリーを支持したんだから」と、大統領選の恨み節まで加えた。

 「映画スターとしても終わりだ」と読める書き込みだったが、シュワルツェネッガー氏は大人の対応を見せた。自身のツイッターでリンカーン元大統領の就任演説を引用。「私たちは敵ではない。みんな同じ米国人だ」と呼び掛け、「視聴率を稼ぐためにささげた努力を、今度は全ての米国人のためにささげてほしい」と呼び掛けた。

 リンカーンは1861年3月の就任演説で「我々は敵同士ではなく、友である。敵であってはならない」と強調。奴隷制の維持を求め、連邦離脱に動いていた南部諸州に、愛国心による問題解決を訴えた。シュワルツェネッガー氏は「奴隷解放の父」とされるリンカーンを持ち出し、人種差別的な発言が目立つトランプ氏に冷や水を浴びせたかったのかもしれない。

 20日の大統領就任式まで2週間を切ったが、トランプ氏のツイッターを巡る混乱は収束の気配がない。

 ◆「セレブリティ・アプレンティス(THE CELEBRITY APPRENTICE)」 番組名の直訳は「有名人の見習い」。前身の「アプレンティス」が、2004年にNBCテレビでスタート。不動産王のトランプ氏がホストを務め、一般参加者十数人が見習いとして働き、同氏の会社への本採用を目指す。同氏が「君はクビだ(You’re fired)!」と叫ぶ決めぜりふは有名。2~5カ月単位で第6シーズンまで断続的に放送され、08年の第7シーズンから、有名人が参加する現在の番組になった。昨年1~2月の第14シーズンまでホストを続けた同氏は、計2億1300万ドル(約244億円)の報酬を得たとされる。日本でもWOWOWが、第7~第9シーズンを「アプレンティス/セレブたちのビジネスバトル」と題して放送した。