政府は18日、2020年東京五輪・パラリンピックの交通対策を官民で話し合う「交通輸送円滑化推進会議」の第1回会合を開き、18年夏に大会開催時を想定した社会実験を行う検討を始めた。競技会場がある地域の民間企業などに試験的に時差出勤をしてもらうなどし、大会時の輸送対策を練る。

 大会機能が集約される五輪パークがあった12年ロンドン大会、16年リオデジャネイロ大会とは違い、東京大会では選手村、メディアセンター、各競技会場、関係者のホテルなどが点在する形。同日に行われた大会組織委員会の輸送連絡調整会議でも齋藤勝久・施設整備調整部長が「東京の輸送はチャレンジング。それぞれの会場が個別に立地していて、選手村やMPC(メインプレスセンター)から輸送を張り巡らさなければならない。過去大会と違った、厳しい特徴」と述べたように、ハイレベルな輸送計画が求められる。

 そこで政府は経済活動への影響を最小限に抑えるため、官民が連携して対策を講じる推進会議を設置。競技会場や日程をシミュレーションし、来夏には実際に社会実験を行う予定。

 例えば、会場周辺の会社数社に時差出勤などをしてもらい、効果を見極める。効果が薄ければ、大会時には時差出勤する会社数を増やすような対策を講じ、民間企業に協力を要請する。

 組織委はこの日、「輸送運営計画」の第1版案を公表。6月初旬に国際オリンピック委員会(IOC)に提出する。選手村や競技会場を結ぶ首都高での五輪レーン全面設置は、2車線道路などで渋滞の懸念が拭えないため断念する。18年度後半には第2版を取りまとめる。