コンピューター将棋ソフト不正使用疑惑が晴れた三浦弘行九段(43)と日本将棋連盟の佐藤康光会長(47)が24日、東京・将棋会館で会見し、連盟が三浦九段に慰謝料を支払う形で和解が成立したと明らかにした。慰謝料の額は非公表。連盟によると、合意項目に含まれているためだという。

 三浦九段は昨年10月15日開幕の竜王戦7番勝負の挑戦者に決まっていたが、直前に渡辺明竜王(33)らから疑惑を指摘され、連盟から年内(16年)出場停止処分を受けた。三浦九段は会見で「先ほど、渡辺明竜王から(直接)謝罪があった」と明かした。会館3階の応接室で、渡辺竜王から「すみませんでした」との謝罪が2~3回あったという。

 佐藤会長も、会見であらためて三浦九段に謝罪。慰謝料の算定方法についての質問には「総合的に判断した」としたが、対局料が含まれるかについては「その観点はなかった」と明かした。合意項目では「休場の強要はなかった」とも、相互に確認したという。

 三浦九段は「将棋界の発展が一番。藤井聡太四段の活躍で盛り上がってる将棋界に水を差してはいけない」と話した。今、対局したい棋士を3人挙げてほしいと問われると、しばらく考え、藤井四段と渡辺竜王、一時疑惑に言及していた橋本崇載八段(34)の3人を挙げた。対局時に希望しているボディーチェックについては「和解を機にというお話もあったが、もう少し、心の整理がつくまで続けたい」とした。【清水優】

 ◆三浦弘行(みうら・ひろゆき)1974年(昭49)2月13日、群馬県高崎市生まれ。92年に18歳でプロに。96年の棋聖戦で当時、将棋界のタイトルをすべて保持していた羽生善治7冠を破り注目された。タイトル獲得1期(棋聖、96年度)、順位戦A級通算15期。