身長155センチの背番号「1」が8年ぶりの夏勝利をもたらした。東西東京大会の参加272校中、最も小さなエース、鷺宮の佐野翔一投手(3年)が好救援して勝利投手となり、09年夏以来の勝利をつかんだ。「勝ててホッとしてます」。佐野が照れくさそうに口を開いた。

 出番は4回からだった。2死一、二塁のピンチを招き、中前打で1失点。なおも満塁と攻められたが、ここを切り抜けて、5回は無失点。打線の援護もあってコールド勝ちとなり、勝利がついた。「リリーフはいつも通り。最初、ボールが先行して、甘い球を打たれました」と振り返った。

 二塁手で入学したが、昨春から指揮を執る杉山真司監督(53)に外野転向を命じられた。そこでも評価は上がらない。同監督が話した。「打撃投手をやらせたら、シュートがいいんですよ。あの身長ですが、野手より投手が合う。コツコツやる子です」。

 この日はスライダー、フォーク、ツーシームを投げ分けた。「ボク、牛乳飲めないんです。カルシウムはとっているんですけど」。そして、こう付け加えた。「こんな身長でも投手ができるんだと見せられた」。そんな小さなエースは、目標の投手に、ダルビッシュ(レンジャーズ)の名を挙げた。【米谷輝昭】