昨季、12球団ワーストのチーム防御率4・62だったヤクルトが、開幕から13試合連続で3失点以下のプロ野球タイ記録をマークした。1956年(昭31)の西鉄以来、59年ぶり2球団目の快挙となった。5投手による継投で巨人打線を2点に抑え、延長11回、畠山和洋内野手(32)の2号勝ち越しソロで3連勝を飾った。これでチームは首位タイに浮上した。

 2点しか与えず、3点で勝った。これぞ真中野球の神髄だ。同点で迎えた延長11回1死走者なし、畠山が決勝の2号ソロだ。最後は、守護神バーネットが無失点で切り抜け、4時間3分の激闘を制した。真中満監督(44)は「高校野球じゃないけど、1試合1試合ごとに見ていてたくましくなっている」と褒めちぎった。開幕から13試合連続で3失点以下。半世紀以上、どんなチームも出来なかったプロ野球タイ記録には「数字はあまり気にせずに、明日からまた頑張ります。本当に選手がよく粘ってくれた」と、ほほえんだ。

 春季キャンプ前、真中監督は「1点差のゲームをモノにする」とテーマを掲げた。文字通りの結果。8日の中日戦(神宮)から3試合連続で1点差勝ち。雄平は「実現するのは難しいけど、本当にピッチャーの人が頑張っているので」と仲間を称賛する声を上げた。

 1つになった。春季キャンプ中、野手とバッテリーで別々に行っていたミーティングを、初めて合同で行った。「互いに何を考えているか、分からないのでは意味がない」が真中イズム。昨季、チーム防御率は12球団ワーストの4・62。逆にチーム打率はセ・リーグ1位の2割7分9厘だった。選手会長の森岡は「こういう考え方を持っているんだという発見になった」。野手、投手が「勝ち切る」方向に向かっていった。

 先発投手の調整方法のアレンジも効果が出ている。ナイター翌日がデーゲームの場合。デーゲームに先発する投手は、これまで午後から前日練習を行っていた。今季からは、チーム本隊とは別行動。午前10時半から練習を始め、昼すぎには切り上げた。午後からミーティングに参加するが、すぐに帰宅。自宅で静養、集中する。高津投手コーチは「体をデーゲーム用にするということ。昼間に投げるから、前日は午前に練習した方が効率が良い。100%の状態で投げられるように」と説明した。

 理想と構想を実現している。真中監督は「まだまだ若いチーム。ロースコアで勝てているのは、チームにとって大きい」と評価した。チームが1つになって、真っすぐ前に進んでいる。昨年の成績は関係ない。若さは可能性。もっともっと強くなる。【栗田尚樹】

 ▼ヤクルトが56年西鉄に並ぶプロ野球最長の開幕から13試合連続3失点以下をマークした。2リーグ制後、開幕からの条件を外した連続3失点以下の最長は、56年大映と58年中日の各17試合がある。ヤクルトの球団記録は61年6~7月の15試合連続。1日阪神戦から続ける連続2失点以下は9試合に伸ばし、両リーグ最長の13試合(56年阪神)にあと4試合とした。