今季初実戦でいきなり2ゴールお膳立て-。北海道コンサドーレ札幌MF小野伸二(37)が26日、札幌・宮の沢で、札幌大との練習試合に臨んだ。45分3セットの3本目に出場。45分間プレーし、広い視野からの絶妙な配球で、2得点の起点になった。股関節痛のためキャンプ中から別メニュー調整。完全合流した13日から約2週間で、順調にコンディションが上がってきた。試合は札幌が11-0で大勝した。

 上々の試運転になった。3本目からFWで出場した小野は開始10分、ゴールを背にし、体を反転しながら右サイドにロングパス。ノールックで味方に通す独特の配球でスイッチを入れると同18分、右からダイレクトにゴール前へ入れたクロスで相手DFを混乱させ、8点目のオウンゴールを誘発した。

 同31分には左から突破してきたFW菅の右から斜めに走り込み、パスを受けるようにみせかけ「自分で勝負しろ」と指示。自分にマークをひきつけ声で9点目を“アシスト”した。左MFにポジションチェンジした40分には、左サイドからライナー性のクロスをゴール前に通し11点目をお膳立て。45分で“2・5得点”に絡み「久しぶりの実戦で痛みなくやれたのがうれしかった。やっとここまで回復できた」と振り返った。

 当然、大学生相手の45分で満足するわけがない。公式戦に出るにはチーム内競争に勝ち抜かねばならない。「最初の45分に出たメンバーが試合に近い。彼らに早く追いつけるようにしたい」。主力組が出た1本目開始35分、アップのためクラブハウスを出ると、ベンチのある反対のタッチライン側に行く途中、ゴール脇で立ち止まり1分間、チームの動きを観察した。ベンチ脇に着いても、じっと戦況を見つめた。出場までの85分間、自分の力がどう組織の中で生きるか、頭のトレーニングに費やした。

 早ければ4月8日のリーグFC東京戦、もしくは中3日で12日に控えるルヴァン杯清水エスパルス戦が公式戦復帰のめどになる。「チームに良いリズムをつくってゴールへの流れをスムーズにするのが僕の目標。J1の高いレベルの中でも良いパフォーマンスができるように、もっと動きの質を上げていきたい」。5シーズンぶりのJ1舞台へ、妥協することなく自らを追い込む。【永野高輔】