フィギュアスケート男子の22年北京オリンピック(五輪)銀メダリスト鍵山優真(20=オリエンタルバイオ/中京大)とNTTデータは、スポーツやエンターテインメント領域における新しいファンコミュニティーサービス作りを目的に、フィギュアスケートと共同で検証を行うパートナー契約を24年4月に締結した。

NTTデータが持つ、大規模データ解析やデジタルマーケティングのノウハウなどを活用した、アスリートとファンが交流する仕組み作り、コミュニティーを盛り上げる画像・動画制作への生成AIの活用を通じて、新たなファンサービスやコンテンツの可能性、スポーツの現場におけるタスクのDX(デジタルトランスフォーメーション)を検証していく。

<背景>

アスリートやスポーツクラブは、ファンとの交流のため、インスタグラムなどのSNSを通じて映像や写真を用い、活動の紹介を積極的に行っている。競技中の姿とは違う、目を引く動画や写真が多くの人の関心を呼び、新たなファンの開拓や「推し」を作るきっかけとなり、ファンクラブの設立などにもつながっている。

ところが、SNSやメディアを通じた情報発信やファンクラブの設立・運営には、コンテンツの制作をはじめ、多くの人的、金銭的コストが発生するため、一部のプロクラブやアスリート以外は安定的に運用することが難しい現状がある。

そこに対してNTTデータが、アスリートとファンが簡単に交流できる仕組みとデータの解析、生成AIなどのテクノロジーで話題になる動画・画像を簡単に作成できる技術を提供。ファンクラブの設立や運営などマーケティング活動を低コストで行う実現性を、鍵山とともに検証することになった。

<概要>

鍵山と行う検証は次の通り。

▼カスタマーエクスペリエンス構築ノウハウに基づいたファンとの交流やコミュニティーを簡単に運営できるアプリ

▼フィンテックを活用した応援、支援システム

▼ユーザーの視聴、行動の解析と分析方法

▼鍵山の競技画像や動画を基にした、生成AIを活用した動画や画像の作成

▼映像・画像コンテンツやグッズ制作のDX

▼競技動画の解析とフィードバックの方法

今年3月の世界選手権で3個目の銀メダルを獲得した鍵山はこの日、都内で開かれた日本スケート連盟の2023-24年シーズン表彰祝賀会で優秀選手賞を受賞。NTTデータとの協業について報道陣から質問され、こう答えた。

「まずはAIの話があって、やっぱり新しい挑戦をこれからも、もっとしていきたいといったところで。フィギュアスケートとそういった新しい技術の組み合わせっていうのは、すごく面白いと思っていて。なので僕もそういうところに挑戦していきたいと思いますし、それが僕のレベルをもっと引き上げてくれると思うので、そういったところですごく興味があって、契約をさせてもらいました」

NTTデータは今後、鍵山とテクノロジー、デジタル技術を活用したファンコミュニティー作り、エンゲージメントサービスの可能性を追求していくという。