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2005.10.16付紙面より
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写真= 「結婚にサプライズはいらないんです。家族みんなで食卓を囲んで楽しくできれば、それでいいんです」。これを聞いたとき、30代半ばの女性カメラマンはかなり動揺してしまいした。「セレブ婚」にあこがれる女性が多い中、その言葉こそがかなりの「サプライズ」。シャッターを押す指が少し震えてしまった |
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(撮影・たえ見朱実) |
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普通でいられる幸せ
あのコを使いたい−。今年、映画やテレビの世界で急激に指名が増えている新進女優がいる。沢尻エリカ(19)。映画「パッチギ!」で在日朝鮮人の女子高生を演じて、一躍脚光を浴び、10月からはゴールデンタイムの連続ドラマ初主演も果たした。「かれん」という形容がぴったりの美少女だが、「普通の感覚」に軸足を置き「表現者として人に影響を与えたい」と前を見据えている。
安室ちゃんに憧れて
「パパ、家を建てて。そうしたらエリカ、もっと早く家に帰ってくるから」。2月から出演する住宅メーカーCMのセリフが、世のオヤジのハートをわしづかみにしている。まさに“娘にしたい女優NO・1”候補。CM同様、笑顔を絶やさない。「おじさん受けがいいでしょう?」と聞くと、さっそく手をたたいて笑いだした。
「アハハハ! あります、あります。そう言われると、すごくうれしいですよ。友達のお父さんと仲良くしゃべることができるし、年齢も気にならないです」。
−−おじさん世代を励ましてよ
「そうですねえ。お父さん世代で、趣味を持ってる人は『ああ、かっこいいなあ』って思いますね。若い子の趣味、例えばダーツなんかができるお父さんってかっこいいですよね」。
ノリの良さ、明るさは生来のものらしい。芸能界入りもそうだった。小学6年の終わりに現在の所属事務所のオーディションに応募、合格した。
「ただ単にノリで受けました。あこがれの人が安室奈美恵ちゃんで、芸能界に入れば会えると思って」。
芸能活動が本格化する前は、東京・渋谷センター街などでも遊んでいたという。水を向けると「確かに遊んでましたねぇ」。うつむいて、おどけてみせた。
「私、誰とでも友達になれるんです。全然知らない人と友達になったこともありますもん。ハチ公前で待ち合わせしてる時に、隣に女の子が座ってて。お互いに待ち合わせの相手が来なくて、意気投合しちゃって。プリクラ撮りに行ってカラオケまで行っちゃいました。今考えるとあり得ない話ですけどね」。
「鬼」監督も絶賛
中学生モデル、グラビアアイドル、女優とステップアップしてきたが、今年公開の映画「パッチギ!」と出合い、大きな転機を迎えた。日本人の男子高校生の愛と自分が置かれた境遇の間で悩む、在日朝鮮人のリ・キョンジャ役。完ぺきな曲線を描く卵形の顔からこぼれるほほ笑み、くしゃくしゃにしてしゃくりあげた泣き顔が、見る人をくぎづけにした。
「葬儀のシーンは号泣でしたね。あのシーンは朝から夜まで一日中ずーっと涙を流してたんで、目がバーッて腫れちゃって。『キャー、何これ』みたいな。『パッチギ!』は私の中で大きかったです。井筒(和幸)監督の存在も大きかった。全然芝居なんか分かんなくて、自分に自信が持てなかったんですけど、面白いなと思う部分はあって。キョンジャの役はあの時の私だからできたと思うし、今だったらできないとも思いますしね。いいスタートが切れました。私のベースになったんじゃないですか」。
若手俳優から鬼とまで呼ばれる井筒監督からは、1度も怒られなかった。要求に対する反応の良さが、厳しい目からも絶賛されている。同作のエグゼクティブプロデューサー、シネカノンの李鳳宇(リ・ボンウ)社長は「勘がいい子」と評した。
「私はフィーリングをすごく大切にしてます。感じるものがあって、ポンって生まれてくるもの。それが監督の意見と一致すると感動します。それが崩れると違和感が残るんですよね。まだまだ私が言えることじゃないですけど。ただ、感情の変化は誰もが持ってるもので、どんな役をやっても変わらないってことは言えます。最初は在日朝鮮人の女の子をやりますって、分からないって思ってたんですよ。でも、女の子が恋する気持ちは私も持ってるし『ああ、一緒なんだな』って」。
人とズレてる!?
映画やテレビの関係者から「あのコはだれだ」「あのコを使いたい」という声が続々上がった。映画やドラマへの出演依頼が殺到した。気がつけば、今年だけでもう映画3本、ドラマ2本に出演している。そして、11日に始まったフジテレビ「1リットルの涙」(火曜午後9時)で初主演。今回も、25歳で難病で亡くなった木藤亜也さんの闘病生活を描く複雑な役柄に取り組んでいる。
「亜也ちゃんを通して、普通でいられる幸せを伝えたいですね。過程でつくりあげていくものを最終的にうまく表現できたらいいなと思ってるし、この作品に対していろんな感情や思いがあるので、初主演とか意識していないんです。プレッシャーも感じないし。たぶん人とズレてるんでしょうね。大変なシーンを撮った時は疲れるけど、そう快感もありますから」。
演技の勘を支えているのは、器用さだ。「パッチギ!」でもフルートをわずか1カ月でマスターしたが、今回のドラマでもエピソードをつくった。
「器用? そうですねぇ。確かにコツをつかめば。『1リットルの涙』でも、バスケットボールのシュート場面があったんですけど、やったらできちゃったんですよ」。
揺るがぬ価値観
屈託なく笑いながら話し続ける。しかし、笑顔の下には「自分」「価値観」をしっかり確立している。高校1年の時に3人兄妹の次兄がバイク事故で亡くなったことを聞いてみた。
「いきなり世界が変わっちゃったみたいな。兄は年齢が近いせいか仲が悪くって。その中で突然亡くなってしまって。ちょうど海外で仕事中でした。上の兄が帰国まで伏せてくれたんですが、知らされてたら仕事にならなかった」。
母親はフランス人。その前年の中学3年の時、父親ががんで亡くなったことも話してくれた。
「お父さんはすごい威厳のある人で立派な人でした。尊敬できる方だった。お父さんの死に目をずっと見てたんです。病院に行かず家にいたので、死ぬまで家族で過ごせました。すごい存在の大きさに気付いたし、一生懸命というか、普段を大切にしたいなと常に思うようになりました」。
触れられたくない問いだったが、ここでも笑みは忘れていない。瞳の水分を少しだけ増やしながら…。結婚観を聞くと、父親のことを話すときに使った「普通」という言葉が何度も飛び出した。
「私の持ってる幸せな家庭像は、普通でいられること。それが一番幸せだと思うんです。例えば、豪華なものだとか、何か驚くようなことが待っている家ではなくて。毎日起きて、ご飯食べて、仕事行って…みたいな普通にできること、日常においての普通でいる幸せがあればいいなと思いますね。だからこそ、結婚記念日とか、誕生日にすごくうれしい気持ちになれるんじゃないですか。毎日がそれじゃね」。
来年も映画「間宮兄弟」「車霊」の公開が控えている。どんな女優になりたいのか聞いてみると−。
「今も女優だと思ってないんです。世間の人が評価してくれるものですから。作品ごとにいろんな人間を演じられるってことはすごく面白いし、深いことだなって常に思います。今後は、日常と懸け離れた役を演じてみたい。『こんな人間もいるんだ』って思いながら吸収していきたいですね。私も周りの人を見て影響を受けてる。それを表現した時に、見てくれた人が影響される。それの繰り返し。映画やドラマを見て『かっこいいな、こうなりたいな』って影響を与えられる人になりたい。昔、私が安室ちゃんにあこがれたように」。
その願いはもう、少しずつ実現している。
「1リットルの涙」で父親役の陣内孝則(47) 腹が据わってるね。ここ何年かで見てきた10代の女優の中で一番の大物感を持ってるよ。ちょっとしたことじゃ微動だにしない。流されないんだよね。今回、僕は泣き芝居が多いんだけど、彼女のセリフはグッとくる。何かこう、しみる周波数がある感じだね。久々の好素材だよ。10代で主演するって大変なことで、普通はくじけたりするんだけどさ、彼女は楽しんでる。ホント大物になりそうな予感がするね。頼もしい主役です。
◆沢尻(さわじり)エリカ 本名同じ。1986年(昭和61年)4月8日、東京都生まれ。中学時代から雑誌モデルとして活躍。01年に「ヤングジャンプ制服コレクション」準グランプリに選ばれ、本格的に芸能活動を始める。02年、フジテレビ「ビジュアルクイーン・オブ・ザ・イヤー」受賞。ドラマは「桜咲くまで」(04年)「あいくるしい」(05年)、映画は「問題のない私たち」(04年)「阿修羅城の瞳」「SHINOBI」(ともに05年)など。160センチ。血液型A。
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