【第45回】
肝臓がん 将来的には減少
肝機能異常3
肝臓病の行き着く先は、肝硬変。慢性肝疾患の終末的イメージが強いが、杉本元信・東邦大医学部教授は「治療法の進歩もあり、改善する可能性もあります」という。肝硬変は文字通り肝臓の組織が硬くなり、十分な働きをしなくなる。わが国では肝炎ウイルスが原因となる肝硬変が80%程度を占めるが、アルコール性肝硬変も13%前後ある。
肝炎ウイルスが原因の肝硬変では、ウイルスを除去する治療のほか、初期の段階では高たんぱく食をとる食事療法などで病気の進行を抑えることになる。「アルコール性肝障害の治療の基本は当然、断酒です。肝硬変の人でも断酒をすれば、5年後の生存率が約90%というデータがあります」(杉本教授)。
肝硬変は肝性脳症、食道静脈瘤(りゅう)、肝臓がんといった合併症を起こす。最近ではこの合併症の予防や治療法が進歩している。肝硬変では肝臓内に血液が通りにくくなる。「そうなると、血液は食道などの粘膜の下の血管をバイパスにして心臓に戻ろうとします。大量の血が流れ込んで血管が瘤(こぶ)のようにふくらむのが静脈瘤です。内視鏡を使って治療できるようになりました」と杉本教授。
肝臓ガンの治療法も外科手術のほか、がん細胞を固めて壊死させるエタノール注入療法(PETT)や栄養・酸素をがん細胞に運ぶ肝動脈をふさいで壊死させる肝動脈塞栓術(TAE)など非手術療法もある。肝硬変も肝臓がんも原因はウイルス感染だが、感染経路が分かってきたことから、新たな感染は激減している。現在は増えている肝臓がんも、将来的には減ることが確実と考えられている。
とはいっても、脂肪肝など生活習慣にかかわりが深い肝臓病は増えている。肝臓に優しい日常生活を心がけることは大切。杉本教授の挙げるポイントは(1)食事は規則正しく、バランスよく(2)適度な運動(3)アルコールは控えめに(週に2日は休肝日)(4)便秘は避ける(5)むやみな薬の服用は避ける。
【ジャーナリスト 小野隆司】
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