【第28回】
幼児期から思春期までトータル援助
小児科医
大学受験を控えた高校生のA君(18)は3カ月ほど前、おなかの激痛を訴え、検査入院したが、腸には異常なしと診断された。痛みもなくなったので退院したが、再び激しい腹痛に襲われた。心配した母親の勧めで、子どものころの掛かりつけ医である北九州市立八幡病院小児科医の市川光太郎医師を訪ねた。
市川医師は、A君は昔から敏感で感受性の強い子だったという印象を持っていたので、最近の様子について尋ねてみると、受験や人間関係に強いストレスを抱えていることが分かった。そこで、神経性の病気である過敏性腸症候群を疑い、治療を行ったところ、腹痛は数日で回復した。
思春期に子どもが体や心の変調を訴えたとき、その原因がよく分からなかったら、15歳を過ぎていても、かかりつけ医だった小児科を受診してみるのもいい方法だ。小児科医を利用するメリットは、(1)幼いころからのその子の体質や気質を心得ている(2)家族ぐるみで受診していることが多く、家庭環境などを理解してもらいやすい(3)小児科医の立場から診察し、必要に応じて適切な専門医に紹介してもらえる、などがある。
市川医師のもとには、盆暮れになると、都会から里帰りした若者が、あいさつや診察にやってくる。「ぜんそく、てんかんなど慢性的な病気を持った人の中には、20歳を過ぎてもそのまま小児科に受診している方もいます。中には結婚してそのお子さんも家族ぐるみで診ている例もあります」と市川医師。「もし重大な病気になったときでも、子どものころから知っている小児科医ならば、その子が病気に立ち向かえるようにアドバイスができます」と話す。
ちなみにカルテの保存期間は5年。しかし過去のカルテがなくても、受診歴があれば、15歳以上でも受診は可能な病院が多い。また、どの専門医に受診するにしても、かかりつけ医からの紹介状があるのは心強いものだ。治療方法の選択を迫られた場合などに、担当医のほかに、信頼できる小児科医に意見を求めるというのも賢い医療の利用法といえそうだ。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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