小泉首相、WBCに便乗発言
第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本が奇跡的に準決勝進出を決め、小泉純一郎首相(64)は「1度や2度『負け組』になってもあきらめちゃいけない」と顔をほころばせた。「格差社会」を肯定し、与野党に批判されても「負け組にチャンスを提供するのが小泉改革」と強調する首相。国民の注目が高いWBCの結果まで持論に絡めてみせた。ポスト小泉最有力の安倍晋三官房長官(51)も「頑張っていればもう1度チャンスがある証し」と、足並みをそろえた。
米国が8回2失点以上でメキシコに敗れるという絶望的な条件がクリアされて、準決勝進出を決めた王ジャパン。小泉首相は17日夜、首相官邸で「いや、まさか、こういうことになるとは想像しなかった。1度や2度『負け組』になってもあきらめちゃいけないね。こういうことがあるんだね。うーん、何とか今度は頑張って勝ってもらいたいね。面白いねえ。うん、そうだな。優勝の可能性出てきたじゃない。うーん、面白いねえ」。笑みを浮かべながら「面白いねえ」を繰り返した。
韓国に1−2で敗れた16日の時点で、日本は2次リーグ敗退の可能性の高い「負け組」だった。しかし、「負け組」陥落寸前に奇跡であれタナボタであれ、野球世界一への道をつなげた。日ごろから「格差が出ることは悪いと思わない」と「格差社会」を肯定し「勝ち組は負け組になるかもしれず、負け組もチャンスがあれば勝ち組になるかもしれない」「負け組にチャンスをたくさん提供するのが小泉改革の進む道」と主張する小泉首相から見れば、王ジャパンの境遇は、持論の体現者のように見えたのだろう。
「格差」発言には、野党だけでなく与党内からも批判が強い。しかし小泉首相は、国民の関心が高い日本の、どんでん返しによる準決勝進出を「『負け組』になってもあきらめちゃいけない」と表現することで、ちゃっかり「格差論争」に便乗してみせた。
ポスト小泉の安倍官房長官も定例会見で「日本はもうだめだと思っていたので、大変うれしい。人間あきらめてはだめだ。頑張っていれば、もう1回チャンスがあるという証しだ」と述べた。ポスト小泉と絡めて「チャンスがあれば逃げずに挑戦することが必要」と首相にハッパをかけられたことがあるだけに「負け組」から復活した王ジャパンへのコメントには、実感がこもっていた。
[2006/3/18/08:47 紙面から]
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