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どないやねん対戦国

西向け西!〜カザフスタン編〜

大使館員のテメノフさん
大使館員のテメノフさん。手前は伝統的な織物と革製品

 いよいよ、ジーコ日本がW杯アジア最終予選へ挑む。2月9日の北朝鮮代表戦を前に、キリンチャレンジ杯2試合を行う。まず29日、カザフスタン代表を横浜で迎え撃つ。同国は中央アジアの一角にありながら、宗教はイスラーム、サッカーは欧州(UEFA)と、分岐点を地で行く。知らざれる中央アジアの交差点を調査すべく、同国大使館へ向かった。

 今回、話を伺った在日カザフスタン共和国大使館勤務のテメノフ・ディダルさん(25)は97年まで首都だったアルマティの大学を卒業後、初めての赴任先が日本というエリート。第2外国語だったと話す日本語も流ちょう。97年10月のW杯最終予選は、ちょうどテメノフさんが日本語を学び始めた時期だった。アルマティで試合を行った日本代表を日の丸片手に応援した縁も持つ。


 スーパーリーグ

 カザフスタン国内にはプロリーグが存在する。「スーパーリーグ」と呼ばれ、今季は19チームが参加。02年までは12チーム前後期制だったが、03年に17チーム1期制に、昨季は19チームに増えた。下克上で毎年、優勝クラブが変わる。強豪クラブの所在地域も偏らないことは、成熟が進んでいる証拠だろう。人気はやはりダービー戦。アルマティ・ダービーと呼ばれるカイラットvsアルマアタは多くのサポーターがスタジアムへ足を運ぶ。試合は古豪カイラットが常にダービーを制している。“弱小”アルマアタは10〜20代前半の選手で固めた若いチームで今季も18位と低迷。まだまだ若いクラブで、今後に期待できるため、地元では人気がある。今回、発表されたカザフ代表にもアルマアタから多くの選手が選出された。代表は若さと勢いで日本ゴールを狙う。海外組は2人だけ。ロシアからの招集となった。同国で尊敬される選手はサマット・スマッコブというDFで、昨季リーグMVPを獲得した。

 UEFA移行
カザフスタン代表(1月12日発表)
GK ユリノビコフ(イルティッシュ)
GK モッキン(アルマアタ)
DF アブディーエブ(アスタナ)
DF スマッコブ(カイラット)
DF ドゥビンスキー(ロシア・シニク)
DF ファミルツェフ(ロシア・トム)
DF チチューレン(アルマアタ)
DF ソロシェンコ(カラガンダ)
DF ウタバイエフ(カイラット)
MF ヤプキン・カルポーエチェ(カイラット)
MF ジャウマガンベートゥ(アルマアタ)
MF マキシム・アゾフスキ(アルマアタ)
MF カメーロブ(アスタナ)
MF ラーリン(アルマアタ)
MF エゴル・アゾフスキ(アルマアタ)
MF アリエフ(カイラット)
MF バイジャノフ(アルマアタ)
MF ヒンチャゴブ(アルマアタ)
FW ブレーシェフ(カイラット)
FW ロディオーノフ(アルマアタ)

 代表は04年、アジアサッカー連盟(AFC)を脱退し、欧州サッカー連盟(UEFA)に移った。理由として「ロシア系住民が多数を占めるため欧州に親近感があるから」と言うが、国内リーグ優勝チームがUEFA杯予選などに出場できるため、興行的に魅了があるというのも本音だろう。

 しかし、アジアより予選のレベルも上がり、当然、W杯への道のりは険しいものとなった。しかし、カザフの人はこの変更を好意的に受け止めているようだ。「W杯で勝たなければ意味がない。出るからにはいい試合をしたい」。出ることに意義はなく、勝つことのみに意味を見出すのは、日本人には違和感もある。しかし、欧州選手権優勝のギリシャ、前W杯3位のトルコと南ヨーロッパの強豪と同じ2組に入り、1勝もできない(4戦4敗)まま最下位(7位)に沈む。こんな苦戦も「いい経験」と話す。貪欲に将来を見据えるが、W杯1勝ははるか彼方に霞(かす)むようだ。

 海外組はロシアリーグ、ウズベク・プレミアシップに在籍している。その隣国ウズベキスタンは、アジア最終予選へ駒を進めた。91年に独立するまでともに旧ソ連を構成した“親戚”だが、「カザフの人間はウズベクを気にしていない」。W杯出場への執着は、まるでないようにも思えた。一方、ラトビアは「大いに気になる存在」と言う。予選プレーオフでトルコを下し、04年欧州選手権出場を果たしたサッカー新興国に、将来の自国を重ねるのか? いずれにしても国民の視線は「西」を向いているようだ。


 石油大国

 UEFA入りへ熱心なロビー活動などを行ったのが、同国サッカー協会理事長でオーストリア大使でもあるラハト・アリエフ氏。同国で尊敬を集めるが、現実は思惑通りに進まなかったようだ。昨年7月、来季のUEFA杯への出場資格を国内優勝クラブがはく奪されたと明かした。競技場施設とクラブ財政が、「UEFAの基準を満たさなかったため」とされる。カザフスタンは石油大国で代表レベルには援助を行ってきた。経済成長も著しいため、今後はクラブレベルへの企業投資も増加が見込まれる。追い風を受けながら、「全てがこれからです」とテメノフさんは前を向いた。

 同国でサッカー、特に代表戦は人気を持つ。「カザフ北部ではアイスホッケーがポピュラーだが、サッカーはどこへ行っても人気。日本戦も注目されている」。また、選手育成システムは「日本と同じ」。ユース出身の選手もいるし、学生時代に認められてプロ入りする選手もいる。

 では、代表はどんなサッカーを仕掛けるのか? 戦術は「極めてオーソドックス」な、1トップの守備的フォーメーション。昨季のリーグ最優秀DFソロシェンコ(ガラガンダー)を中心としてゴール前を固める。また、シドニー五輪予選で日本の前に立ちはだかったGKロリヤのように、GKユリノビコフは身体能力の高さで高評価を得ている。攻撃面では、共にアルマアタに所属するMFアゾフスキ兄弟が起点となる。広島の森崎兄弟のイメージか。若いチームだけに、「何でもあり」のカウンターも予想され、侮れない。

 最後に勝つのはどちらか? と訪ねると、ズバリ「強い方が勝つ」と言った。日本代表にとって、最終予選、本番前の大事な一戦。大勝して弾みをつけたい。

取材を終えて

カザフスタン共和国大使館
東京・目黒区の閑静な住宅街にたたずむカザフスタン共和国大使館

 テメノフさんの話を聞いて、カザフって、かなり「特殊」かもと感じた。W杯は「出場より、出て勝つことに意義がある」と言った。日本人とは感覚が違う。日本人が特殊なのか? これがアジアと欧州の違いなのか? いややはり、カザフは「特殊」だ。試合も「勝敗の行方」より「スタジアムに人が入るかどうか」を、気にしていた。大使館の意地もあって、気にかかるのは仕方ないが、やっぱり不思議の国? と感じた。「特殊な国」への興味は尽きない。もっと知りたい、いつか行ってみたいと思った。


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