<W杯アジア2次予選兼アジア杯予選:日本5-0シリア>◇E組◇29日◇埼玉

 後半、日本は失点危機が何度かあった。最後で体を張ったり、相手のシュートミスなどに助けられたが、2、3点取られてもおかしくない展開。FIFAランク123位のシリアに、どうして何度も失点危機を招いたか? 酒井高、森重、長友のマークがずれていたのが、一番の原因だろう。相手のクロスに対し、DFは常に相手を視野に入れていないといけないのに、ボールウオッチャーになることが何度もあった。

 終盤はゴールラッシュになったが、後半21分に香川が得点するまで、どう転ぶか分からない試合。何度もチャンスをつくりながら決めきれない。ワンタッチもいいけれど、行き詰まった時に、ハーフナーの高さを生かすことも考えるべきだった。交代で入った選手も似たようなタイプで、パターンが単調だと、守る方は慣れて、守りやすくなる。

 この日も、ハリルホジッチ監督の交代に疑問があった。負傷退場の山口の代わりに、ドリブラーの原口をボランチに入れた。その位置では、ドリブルも生きないし、原口に激しい守備や展開力を求めるのも酷である。原口を生かすなら、サイドで勝負させるべきだった。修正点が多く、心配が募る2次予選だったが、無失点無敗で突破できたことを良しとするしかない。(日刊スポーツ評論家)