ガンバ大阪GK東口順昭(35)が、史上6人目のJ1通算100完封に王手をかけている。フル出場して無失点だったGK完封数は通算99試合。節目の350試合出場にもあと1試合と迫る。

今季はチームとして守備が乱れる試合が多く、最下位に低迷する横浜FCの389本を上回る、ワースト423本のシュートを打たれている。それでも1試合平均失点は1・21点(横浜FCは2・15点)で、完封数は33試合中12試合。数多くのシュートを打たれている割に失点が少ないというデータが守護神の存在の大きさをより際立たせる。

前節23日のサガン鳥栖戦では安定したプレーで1-0の無失点勝利に貢献。ハイボールの処理も安定感抜群で、FW宇佐美のカウンターからの決勝点はGK東口の手によるパスが起点となった。その切り替えの速さは、18年ワールドカップ(W杯)ロシア大会で日本代表を沈めたベルギー代表のGKクルトワのキャッチから始まった高速ロングカウンターをほうふつさせた。

09年にJ1アルビレックス新潟でプロキャリアをスタートし、10年3月13日のジュビロ磐田戦でリーグ初出場。続く同20日のG大阪戦(0-0)でビッグセーブを連発するなどでレギュラーの座をつかむと、11年には日本代表に初選出された。度重なるけがに苦しみながら、12年にリーグトップ81%のシュートセーブ率を記録。守勢に回る時間が長かったチームにおいて、1試合平均失点0・96とリーグで唯一0点台をマークした。

当時から「セーブ率という数字にこだわりはないですけど、どの試合もゼロ、完封にはこだわってやっています」と、チームの勝ち点に直結する無失点を常に意識し、レベルアップを図ってきた。

東口が新たに加わった14年のG大阪は国内3冠の偉業を達成。絶対的守護神はここでもけがに苦しんだ時期があったものの、18年11月からは1度も欠場することなく、J1リーグ戦104試合連続フル出場中。今年9月の鹿島アントラーズ戦でクラブ史上初の100試合連続フル出場に到達した。

1対1の絶体絶命のピンチでも体を張って阻止し、味方がシュートコースを限定しさえすれば、東口が確実に防いでくれる。そんな安心感がある。節目の通算100完封を目指し、次節11月3日に圧倒的な攻撃力を誇る2位横浜F・マリノスとアウェーで対戦。円熟味を増した35歳が、これからもチームの勝ち点獲得の原動力となる。


<G大阪のJ1連続試合フルタイム出場>

104 東口順昭(GK)18年~継続中

76 藤ケ谷陽介(GK)10~12年

73 三浦弦太(DF)17~19年

70 松代直樹(GK)02~04年

66 東口順昭(GK)14~15年

65 岡中勇人(GK)97~98年

63 山口智(DF)07~09年

50 遠藤保仁(MF)01~03年


<J1GK完封数ランク>

169 曽ケ端準(鹿島)

163 楢崎正剛(名古屋)

161☆西川周作(浦和)

101 川口能活(相模原)

100☆林卓人(広島)

99☆東口順昭(G大阪)

※所属は現在およびJリーグ最終、☆は現J1


【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)