U-19(19歳以下)日本代表が同アジア選手権(バーレン)を初めて制し、アジア王者となりました。難なく4強入りし、5大会ぶりのU-20W杯出場を決めただけでなく、頂点に立ちました。

 日本に戻ってきたのは10月31日深夜。「育成日本復活」を掲げて約1年前の会長選に当選した田嶋会長も駆け付け、1人1人を握手で出迎えねぎらう喜びよう。選手には、近くのホテルで遅い夕食が振る舞われました。

 1月にはリオデジャネイロ五輪出場権のかかったU-23アジア選手権(カタール)で手倉森ジャパンこと、U-23日本代表が優勝を飾っています。16年に入り、日本は2つの世代がアジアを制したことになります。

 ただ、手放しでは喜べません。手倉森ジャパンでアジア制覇の原動力となった主力選手の何人かは、大会後、所属クラブで試合から遠ざかってしまいました。この状況が国を背負った真剣勝負の大一番でどのような影響を及ぼすかは、同様の問題に頭を悩ませ続ける日本代表ハリルホジッチ監督の“叫び”を思い出すまでもないでしょう。

 結局、日常でのもうひと伸びがかなわず、肝心のリオ五輪では1次リーグ敗退。アジア王者の称号を、世界での躍進に結びつけることはできませんでした。

 東京五輪の主力となるであろうU-19「内山ジャパン」でも同じ状況が考えられます。来年5~6月に韓国で行われるU-20W杯までに、コンスタントにJリーグで試合に出場できる選手がどれだけ出てくるでしょう。柏の中山選手や福岡の冨安選手ら、すでに主力級の選手もいますが、大会MVPに輝いたG大阪の堂安選手やエース格の磐田FW小川選手がクラブでレギュラーに定着するのは、簡単なことではなさそうです。

 Jリーグも、若手育成に今季からJ3へのU-23チーム参入など手を打ってはいますが、できることには限りがあります。思い切って若手を抜てきする監督も多くありません。主力と期待される選手たちがJリーグで出番のないままU-20W杯を迎え、リオ五輪と同じように若手の出場機会が“敗因”として語られたとしたら、残念でなりません。

 大事なW杯アジア最終予選を戦う“長男”のA代表から、すでに解散してしまいましたが“二男”のU-23、そして“三男”のU-19まで、日本代表はクラブでの出場機会という大きな問題を抱えています。この問題には現状、解決策がありません。こう書いては身もふたもありませんが、これが現実なのです。それを打ち破る、たくましさをU-19の選手たちに、期待したいです。


 ◆八反誠(はったん・まこと)1975年(昭50)岐阜県生まれ。98年入社。名古屋でアマチュア野球や一般スポーツを担当し、06年からサッカー担当に。途中、プロ野球中日担当も兼務。14年1月から東京勤務。日本サッカー協会などを担当。