「託された者」と「託した者」。リオ五輪代表の手倉森監督はそう表現していた。2日、U-20(20歳以下)W杯韓国大会のメンバーが発表された。東京ユースの15歳FW久保建英(たけふさ)の選出に世間が沸く中、選ばれずに悔しさを味わった選手もいる。MF堂安(どうあん)ら最多3人が選出されたG大阪では、候補に挙がっていたFW高木彰人(19)が落選した。

 「悔しいのは悔しいですよ。でも言い訳はしない。自分に足りなかったところがあるから選ばれなかったわけで。ゴチャゴチャ話すのはやめます。今までがうまくいきすぎていた」

 G大阪の下部組織出身。各世代別の経験が豊富なストライカーだ。ジュニアユース時代は堂安やDF初瀬、MF市丸らと史上初の中学世代全国3冠を達成した。ユースに昇格し、高2だった14年にはナビスコ杯鳥栖戦に16歳8カ月12日で出場。これはFW宇佐美(現アウクスブルク)や堂安をも超えるクラブ史上最年少出場記録。カップ戦においては、森本貴幸(15歳10カ月20日)久保建英(15歳10カ月29日)に次ぐ年少記録だ。

 そんなエリート街道を突き進んできた高木だったが、同期入団の堂安(1学年下で飛び級)、初瀬、市丸がW杯メンバーになりながら、あと1歩届かなかった。高木自身、U-20代表が臨んだ3月のドイツ遠征では1得点3アシストの活躍。アピールには成功していた。3日、大阪・吹田市内での練習では長谷川監督から「ここ(U-20W杯)がゴールじゃない」と声を掛けられた。だが、19歳の点取り屋はきっぱりと言った。

 「ここがゴールじゃないって思っちゃうのは、逃げ。監督は慰めてくれたんですけどね。俺に足りないところがあった。それだけ。ゴールという結果で示していかないと」

 きっと心の中は悔しさであふれているだろう。それでも、高木は気丈に前を向いて話し続けた。「見返してやりますよ」。昨季はJ3のG大阪U-23が主戦場で23試合1得点。J1カテゴリーでのゴールはまだない。きっと1点を取ったその日から、高木の逆襲は始まるだろう。【小杉舞】


 ◆小杉舞(こすぎ・まい)1990年(平2)6月21日、奈良市生まれ。大阪教育大を卒業し、14年に大阪本社に入社。1年目の同11月から西日本サッカー担当。担当はG大阪や広島など関西クラブ。甲子園球場での売り子時代に培った体力は自信あり。