<高校サッカー:広島観音1-0山形中央>◇2回戦◇2日◇平塚

 広島観音(広島)が県勢連覇へ好発進した。4年ぶり3度目の出場の広島観音は2回戦で山形中央(山形)と対戦。J2岡山入りが内定しているFW竹内翼(3年)の豪快ボレーで、1-0勝利を挙げた。

 広島観音の勝利を告げるホイッスルが湘南の風に乗る。竹内は握りしめた右拳をゆっくりと振り下ろした。均衡を破る一発が決勝点になった。白いユニホームの背番号「11」は、お立ち台で「自分が点を入れると勝てる。チャンスが来ると思っていた」。初めての選手権勝利の余韻に浸った。

 尊敬する元イタリア代表FWビエリさながらの豪快弾だ。前半からシュート数で圧倒しながらも、187センチの長身GK鈴木に阻まれ続けた。焦りも生じる後半19分。DF木下の右クロスに反応した。2トップの相棒・山本がDFを引き連れて出来た裏のスペースを嗅ぎ分け、流れてきたボールに「来ると信じていた」と右足を振り抜いた。スタンドが静まりかえる超高校級のシュートを、ネットに突き刺した。

 大舞台でも迷いはない。選手権未経験のイレブンだが、やることは同じ。選手選考や作戦などを選手自身に決めさせる方針を貫く。風下発進に、先手必勝で風上を好んだ畑監督だが「彼らのプランで最後まで戦います」とキッパリ。「広島観音サッカー部は、なぜ強くなったのか」の著者でチームトレーナーを務める伊藤氏は「選手の状態は期間中にピークが来るように整っています」と言う。

 さらに強力な援軍も現れた。畑監督と同じ広島市の大河FC出身で元日本代表MF木村和司氏(現横浜新監督)が試合前夜に宿舎を訪問。「楽しんでやってこい」と激励を受けたイレブンが、しっかりと初戦を突破した。

 県勢連覇の夢へ-。竹内は自らを追い込む。1大会最多10得点で前大会得点王に輝き、鹿児島城西を準優勝に導いた怪物・大迫(現鹿島FW)を「超える存在に」。エースの決勝点で流れに乗った広島観音が、優勝旗を今年も広島に持ち帰ってみせる。【佐藤貴洋】