<高校サッカー:関大一4-1藤枝明誠>◇準々決勝◇5日◇市原臨海

 関大一の4点目が4強入りへの「祝砲」になった。終了間際の後半38分。エースFW久保綾祐(3年)がこぼれ球を左足で蹴り込む。王国静岡の代表を終始リードする理想的な展開を、悩める男が締めた。「国立なんて、ホンマに夢のようです。夢ってかなうもんじゃないと思ってたけど、かなってうれしいです」。

 大阪予選で8戦8発。しかし全国大会では、進撃を続けるチームでひとり蚊帳の外だった。八千代を下した3日の3回戦も好機を外しまくった。試合後はロッカールームで号泣。この日も不安で深夜2時半に目が覚めた。不振には理由があった。「ボク甘党なんです」。体脂肪率ひとケタも珍しくないサッカー界で、18%と異例の数値を誇る?

 ストライカーは試合前に『ドロリッチ』というゼリー状のスイーツをコンビニで買って飲むのが日課だった。

 「おいしいし、点取れるし、いいことだらけ」。3種類のうち、お気に入りはイチゴが入ったベリー味。しかし関東入り後はコンビニを8軒探してもコーヒー味しか売ってなかった。飲まずに臨んだ2試合は不発。たまらず、4日もコンビニを6軒はしごして最後にコーヒー味を購入。試合前にゴクリとやり「ベリーじゃないけど、これでいいんや」と暗示をかけた。

 「コーヒー味は甘くなかったけど効果ありました」。エースの初ゴールで、チームを覆っていたモヤモヤも吹っ飛んだ。77年度の北陽(現関大北陽)以来の大阪勢4強入りにも、佐野監督は相変わらず「まぐれですよ」と控えめだが、同勢36大会ぶり(73年度の北陽以来)の優勝も見えてきた。【八反誠】