日本協会は1日、W杯アジア2次予選初戦のシンガポール戦(16日・埼玉)に臨む日本代表25人を発表した。5月の代表候補合宿で初招集されたDF丹羽大輝(29=G大阪)は正式に代表入り。織田信長らに仕えた戦国武将の丹羽長秀を先祖に持つ29歳が、サムライの精神を貫き、日本での定位置とW杯切符をつかむ。ハリルホジッチ監督はこの日から千葉県内で欧州組8選手と合宿をスタートさせ、国内組も含めた全体練習は8日から始まる。11日にはイラクとの親善試合に臨む。

 体に流れるサムライの血がうずいた。丹羽がW杯予選に臨む日本代表入りを果たした。5月のA代表候補合宿に初めて招集され、G大阪ではJリーグ、ACLでしっかりと結果を残し、ハリルホジッチ監督から合格点を与えられた。

 「(代表に)入るつもりだったんで驚きもない。候補合宿で、これからJもACLも毎試合チェックしていくからと直接、ハリルさんから言われた。見てくれてたなら(自分が)入るやろなと思っていた」

 まさに天下統一を目指す心意気だ。織田信長や豊臣秀吉に仕えた丹羽長秀を先祖に持つという。丹羽は「じいちゃんが名古屋の人で、小さい頃から『武士の血が流れる』と言われていた」。本職のセンターバックには14年W杯ブラジル大会を経験したDF吉田や森重が名を連ねる。それでも「代表の主力でやるイメージはある。ガンバの3冠、ACL。積み重ねてきたものに自信はある」と代表での戦国時代を勝ち抜き、頂点に立つことを誓った。

 プロ生活12年目。うち5年間は3チーム(徳島、大宮、福岡)で期限付き移籍を重ね、J2も経験した。「どの時代も自分にとってプラス」。努力でつかんだ初めての代表候補合宿では「細かい最終ラインのコントロールや、組織を動かすDF。他の人に負けへんと感じた」という。危機感もある。「僕は結果を出さないとすぐに外れる」。覚悟を胸に、遅咲きの29歳がW杯ロシア大会を目指すサムライブルーのユニホームに袖を通す。【小杉舞】

 ◆丹羽大輝(にわ・だいき)1986年(昭61)1月16日、大阪・河内長野市生まれ。G大阪ジュニアユース堺から同ユースへ進み、04年トップ昇格。07年J2徳島、08年大宮、08年J2福岡へと期限付き移籍。12年G大阪へ復帰し、3冠獲得の昨季は25試合2得点、J1初得点も記録した。180センチ、76キロ。

 ◆丹羽長秀 織田信長の忠実な家臣の1人で、羽柴(豊臣)秀吉にも仕えていた。本能寺の変後、信長の後継者を決める清洲会議にも秀吉、柴田勝家、池田恒興とともに出席。後に天下を統一した秀吉からも、丹羽長秀の「羽」と柴田勝家の「柴」を取り、羽柴姓を名乗るほど信頼された。