日本代表のFW本田圭佑(29=ACミラン)が、首位突破弾を決める。既にW杯最終予選進出を決めているE組首位の日本は、今日29日の2次予選最終戦で2位シリアと対戦する。28日は、試合会場で公式練習の冒頭15分間だけを報道陣に公開。先発復帰が濃厚になった本田は、W杯予選歴代トップの5戦連発中。勝利へ導くゴールが求められる。

 埼玉スタジアムは、ゴールの香りがした。肌寒い風を全身に浴び、本田がシリア戦に向けた闘志を高めていく。冒頭15分間だけ公開された最終調整。芝生の感触を確かめるように、スパイクで踏む。そして自身のシュートをたたき込むイメージを持ちながら、ゴールマウスをジッと見つめた。

 大勝したアフガニスタン戦(24日)は、ミラノからの長距離移動による疲労を考慮されて温存になった。1試合の空白が生まれはしたが、W杯予選は昨年9月3日カンボジア戦から日本歴代トップの5戦連発中。連発記録は、シリア戦と同じ埼玉から始まった。しかも埼玉でのW杯予選は、ザッケローニ体制だった12年6月8日の最終予選ヨルダン戦で2戦連発となる代表初のハットトリックを達成。それだけで終わらず、13年6月4日オーストラリア戦で14年W杯切符を運んできたのも、ここ埼玉で決めた本田のPK弾だった。

 この日、本田は協会が指定した取材対応日ではなく、報道陣とは接触せずに宿舎ホテルに戻った。26日の取材では「限られた相手でも満足することなく厳しく、一喜一憂することなく突き詰めていく。1つ1つのプレーにもっとこだわりを持って自己分析、チーム分析をしていくべきだと思っている」と指摘した。アジアの枠で満足することなく、雪辱の舞台となる18年W杯での快進撃に向けて、成長していくことを訴えかけた。

 勝ち点1差で迫る2位シリアに勝てば、首位で最終予選へ。その先に自身3度目となるW杯がある。ハリルホジッチ監督は17日の会見で「本田以外に点が取れるFWを我々は見つけないといけない」とまで信頼。場合によっては岡崎と前線で並ぶ形になる可能性もある。果てしない本田の挑戦は、続く。【益子浩一】