サッカー日本代表選手が、試合報酬などをめぐって日本協会と対立している件について18日、代表チーム主将を長く務めてきたDF中沢佑二(32=横浜)が“徹底抗戦”の覚悟を明かした。選手一丸となった長期戦も想定し、同協会の対応によっては親善試合の招集ボイコットという強硬手段に打って出る可能性も示唆した。「次世代のために、絶対に勝ち取らなければならないと思っています」と強い使命感で、環境や待遇の改善実現にこぎつけるつもりだ。

 都内で行ったトークショー終了後、中沢は強い決意と覚悟を語った。「この状態を、日本代表を目指す子供や若者たちにそのまま引き継がせるわけにはいきません」。世界基準を大きく下回る試合勝利給や日当。負傷して所属クラブの試合に欠場した時の補償。認められない肖像権。山積する待遇問題をめぐって日本プロサッカー選手会(JPFA)と日本協会の対立が激化していることが表面化した。99年に代表入りして以来、主将も務め、ピッチでチームをけん引してきた中沢は神妙な面持ちで語った。「日本協会が動かないようなら、僕ら選手ができる最後の手段はそれしかない」。協会からの招集をボイコットし、親善試合でストライキを断行する可能性に触れた。

 最近になって噴き出した問題ではない。代表選手を取り巻く待遇問題は、三浦知良(43=横浜FC)らが代表メンバーに名を連ねていた90年代から生じていた。選手会も水面下で日本協会と折衝を続けたが、事態は好転しなかった。中沢は「試合では何としても勝ちたいと必死に頑張ってきた。みんな人生をかけている。だからこそ納得いかないこともあり、疑問を持つようになった」。

 プロ野球の選手たちが強い団結力と実行力でさまざまな権利を獲得していく様子も刺激になった。「プロ野球界が前例をつくってくれた。サッカー界も足並みをそろえ、一丸となって挑まなければ、代表選手の価値はこのままでは下がる一方」と危機感を募らせた。

 W杯南アフリカ大会直前合宿では、選手たちの中心となって、日本協会幹部と話し合いに臨んだ。しかし、協会側の動きは鈍く、今も改善にはほど遠い状態のままだ。「次世代のために絶対に勝ち取らなければならない。(改善が)1歩でも進まなければサッカー人気低下につながりかねない。大変なことになる」。日本代表の「顔」は、長期戦も辞さず、徹底的に話し合っていく覚悟を決めている。