<国際親善試合:日本0-0チェコ>◇7日◇日産ス
キングが「ザック流」にダメ出しした。日本代表(FIFAランキング14位)はチェコ(同32位)に引き分けた。1日のペルー戦に続き、アルベルト・ザッケローニ監督(58)が3-4-3の攻撃的システムを試したが、2戦連続のスコアレスドローに終わった。会場で観戦した元日本代表でJ2横浜FCのFWカズ(三浦知良=44)は「4バックが一番慣れている」と話し、「結果が求められるのが日本代表」と辛口の檄(げき)を飛ばした。9月からのW杯アジア3次予選を控え、実戦は8月10日の韓国戦(札幌ド)1試合だけとなった。
日本代表の厳しさを日本一知っている男が、ザックの新システムにもの申した。試合後、カズはシステムについて聞かれると開口一番「普段の4バックが一番慣れていると思う」と切り出した。日本の最大の武器である連動性が生かされていない欲求不満がたまるスコアレスドロー。キングも思うところがあった。
ペルー戦に引き続き試した3-4-3は、点を取りに行く時の超攻撃的なシステム。しかし、攻撃で威力を発揮することができない。サイドで起点となるはずのMF長友、内田が思うように前へ飛び出せない。流れの中で作った決定機は、後半33分にMF長谷部がゴール前でシュートを打った1回のみ。同16分にも中盤でパスはつながったが、ラストパスが通らず、ボールを相手に渡した。
もちろんカズも「3バックを監督がやりたいなら、今しかテストはできない」と新システムの試行段階ということは理解している。それでもあえて「結果が求められるのが日本代表ですから…」と厳しい言葉が出た。自身がエースFWとして出場した97年のW杯アジア最終予選。UAE戦で0-0と引き分けた際、サポーターに卵、コイン、パイプ椅子などを投げつけられた。日の丸を背負った試合は1戦1戦が重みを持っている。この日も6万5856人もの観衆が集まった。「テスト、テスト」と言い続けるわけにはいかない。カズの言葉にその思いが込められていた。長谷部も「代表は結果が全て。2戦連続でスコアレスは本当に悔しい」と話した。
一方で辛口評は日本代表への期待の裏返しでもあった。代表戦の観戦は、本人いわく「約10年ぶり。トルシエ監督時代以来かなあ。覚えていないよ」。欧州で活躍する長友らの成長がうれしかった。チェコ戦後は欧州組を集めての晩さん会も計画している。
はがゆい気持ちも重なったのだろう。「やっぱりこういうピッチにまた立ちたい。それがあるからサッカーはいい」とカズは話した。9月から始まる14年W杯ブラジル大会のアジア3次予選についても「もちろん目指しますよ。でもまずJ2で試合に出ないといけない」と冗談交じりに話したが、44歳になっても、日の丸への思いは誰よりも強い。
試合で印象に残ったシーンを聞かれて挙げたのは日本の場面ではなかった。「相手のGKがすごかったね~。一番印象に残った。普通だったら入っているシーンでも止めていた」。W杯予選まで残された実戦は8月10日の韓国戦だけ。最後にカズは「日本代表は永遠の目標」と魂の言葉を残して、さっそうと会場を後にした。【三須一紀】

