“神様”が関塚ジャパンのロンドン五輪出場を後押しする。U-22(22歳以下)日本代表が、元日本代表監督のジーコ氏(58)がA代表の監督を務めるイラクのU-22代表(アルエラヤウィ監督)との練習試合を調整していることが25日、分かった。ジーコ監督は直接指揮しないものの、大切な橋渡し役になる。アジア最終予選シリア戦(2月5日)前に、1月25日から行うカタール合宿での貴重な強化試合になり、仮想中東勢としては最高のマッチメークと言える。同地では元鹿島監督のパウロ・アウトゥオリ監督(55)率いるU-22カタール代表とも強化試合を調整中だ。同代表はこの日、千葉県内で短期合宿を開始した。

 日本のサッカー界に多大な貢献をしたジーコ氏が、再び日本サッカー界とタッグを組む。5大会連続の五輪出場を目指すU-22日本代表との強化試合の懸け橋となり、ロンドンへ続く道を明るく照らす。

 アジア最終予選を戦う同代表は、来年2月5日にアウェーでのシリア戦を控える。勝利すれば予選突破に大きく前進する一戦を前に、1月25日からカタールでの中東合宿を行う。その地でジーコ氏が9月から指揮するイラク代表の「弟分」にあたる五輪代表との試合が組まれる可能性が高くなった。同じ中東勢と、敵地決戦を前に、これ以上ない予行演習になる。

 まだ最終決定はしていないが、関係者は「2試合組みますが、どちらも中東にいるチームです。ちゃんとやってくれるところです」とし、交渉は順調に進んでいる。U-22イラク代表もアジア最終予選を戦っており、お互いにとって、五輪出場権獲得へ、最高の強化試合になる。

 カタールでのもう1試合も、中東勢で調整中だ。U-22カタール代表で、06年に鹿島を率いたアウトゥオリ監督が指揮を執っている。選手、総監督として深く鹿島にかかわったジーコ氏、鹿島時代にコーチ業で研さんを積んだ関塚監督と同様、アウトゥオリ監督も鹿島と縁深い人物だ。2試合とも中東勢と組めれば、予習は完璧になる。日本の名門が作る“鹿島ライン”が、ロンドンへの大きな後押しとなる。同代表も最終予選を戦っており、3チームとも境遇は同じで、障害なく交渉は進んでいくものとみられる。

 内乱の影響でシリアが国内で試合を行うことは難しく、2月の試合は中立地開催がほぼ決定している。場所はヨルダンが有力だ。6月のアジア2次予選では、敵地のクウェート戦で1-2と敗れた。苦杯をなめた中東での戦いで同じ轍(てつ)は踏めない。神様の力を借りて、何としても勝利をつかむ。【阿部健吾】

 ◆ロンドン五輪出場への条件

 アジア最終予選各組1位が出場権を獲得する。各組2位の3チームはアジア第4代表を決めるアジアプレーオフ(マレーシア)に進み、セントラル方式のリーグ戦を実施。首位のチームがアフリカ第4代表とホームアンドアウェーの大陸間プレーオフを行い、その勝者が五輪出場権を得る。

 ◆日本代表監督後のジーコ氏と日本人選手

 指揮官ジーコ氏と日本人選手との対戦は少ない。ジーコ氏がフェネルバフチェ(トルコ)の監督をしていた06年2月3日、07年5月19日に、稲本潤一(現川崎F)のガラタサライと2度対戦。いずれも稲本はフル出場しながら、ジーコ氏のフェネルバフチェが2-1で勝った。