【ドーハ(カタール)28日=福岡吉央】しし肉パワーでシリアを止める!

 U-23(23歳以下)日本代表のDF吉田豊(21=清水)が自慢のフィジカルを生かし、2月5日のロンドン五輪アジア最終予選シリア戦(ヨルダン)出場を目指す。シリアは体格のいい選手がそろうが、幼少期からしし肉を食べて育った吉田はチームでも屈指の強靱(きょうじん)な肉体を持っており、守備陣の秘密兵器として最適。大一番となる一戦で体を張ってシリアの攻撃を封じ、五輪切符に王手をかける。

 富士山麓でしし肉を食べて育った吉田が、イノシシのようながっちりとした肉体を武器に、シリアを止める。祖父利松さん(72)がしし狩りをしていた影響で、子供の頃から毎日のようにしし肉を口にしてきた。

 「子供の頃は肉といえばしし肉だと思っていた。冷蔵庫にはいつも入っていたし、食卓に並ぶのもしし肉や鹿肉がほとんど。しし鍋を食べて育った僕のパワーの源なんです」

 静岡学園高時代には、高校総体で県の代表となった浜名の選手が吉田にタックルし、逆に5メートルはね飛ばされて鎖骨を骨折、病院送りにしたことも。吉田に体当たりをかました磐田ユースの選手が脱臼し、相手の親から「もう勘弁して…」と泣きが入るなど、優秀な選手がそろう同校でも数々の伝説を作り上げてきた。

 2月5日に対戦するシリアは、関塚監督が「中東といっても体格は欧州と似ている」と話すように、192センチの長身FWアル・スマをはじめ、フィジカルの強い選手が多い。両サイドバックはDF酒井、比嘉の先発が有力だが、吉田は昨年6月のアジア2次予選クウェート戦(アウェー)でも途中出場しており、ベンチ入りの可能性は十分。168センチと上背こそないが、両サイドをこなせるだけに、関塚監督の信頼も厚い。

 カタール入り後も、FW陣とのマッチアップで体を張ってシュートを防ぐなど、精力的な動きで存在をアピールしてきた。吉田は「逆サイドからのクロスが来ても、相手に競らせないようにしたい。攻撃にも参加して自分の良さを出したい。自分たちのサッカーをすれば絶対に勝てる」と、出場に向け、イメージを膨らませる。

 仮にDFラインの裏を取られても、相手FWのもとに猪突(ちょとつ)猛進し、体を張ったプレーで相手を封じれば、自然と勝利も近づいてくる。吉田はうり坊のような優しい顔で相手を油断させ、自慢のしし肉ボディーでシリアの攻撃を断ち切ってみせる。

 ◆吉田豊(よしだ・ゆたか)

 1990年(平2)2月17日、静岡県富士宮市生まれ。リベルダージFC、静岡学園高を経て、08年に甲府入り。今年、清水に移籍した。世代別日本代表の常連で、07年のU-17W杯では3試合に出場。昨年はリーグ戦23試合に出場。168センチ、66キロ。右利きだが左右のサイドバックをこなす。