なでしこジャパンの佐々木則夫監督(53)が、次戦のキリンチャレンジ杯(4月1~5日)にU-20(20歳以下)日本代表MF猶本光(18=浦和)を初招集する意向であることが分かった。9日、準優勝に終わったアルガルベ杯が行われたポルトガルから帰国。今回同行したFW京川舞(18=INAC神戸)とともに2月の和歌山合宿で高評価した猶本を、28日からの宮城合宿で再チェックすることを示唆した。ポジションで重なるMF沢穂希の代役として実戦で試す。4月1日に米国(ユアスタ)、5日にブラジル(ホームズ)と対戦する。

 佐々木監督が“ポスト沢”の1人に18歳のMF猶本の名前を挙げた。「アルガルベ杯のメンバーは21人だったのでたくさんは呼べなかったが、仙台キャンプでは23人くらいは呼びたい。猶本とかも上で経験させてみたいよね」。最大の持ち味は抜群のパスセンスと積極的に前線に飛び出しゴールに絡む攻撃力。小柄ゆえに対人プレーに課題はあるが、鋭い予測力でピンチの芽を摘む守備力は沢に通じるものがある。

 2月の和歌山合宿最終日には、FW京川と2人だけ「なでしこ対なでしこチャレンジ」の練習試合にU-20から“飛び級”でA代表に入った。「なでしこに入っても遜色はない。その域に達している。もっと思い切りやればいい」と同監督は高評価。猶本も「少しずつ前を向いて私らしいプレーもできるようになってきた」と話していた。

 28日の合宿へ向け、佐々木監督は「沢もご心配かけましたが、たいしたことはない。次のキャンプではプレーできる」と話した。攻守に起点となる沢を理想とする猶本も「オリンピックは意識しています。また一緒にできる機会があれば、沢さんや先輩たちからもっと吸収してアピールしたい」と、激しい五輪代表18人入りにも意欲を見せた。

 アルガルベ杯では沢の代役として活躍したDF田中。ボランチとFWを併用している菅沢、高瀬も結果を出した。帰国後には「W杯、五輪予選の積み上げを実感できた」と、同監督は層の厚みや底上げに自信も得た。それでも「もっともっと18人枠を狙って活性化してほしい。今度のキャンプはテストの場。米国、ブラジル相手に経験をさせてオリンピックを見据えたい」。本番でも累積警告や体調不良でエースを欠く可能性もあるだけに「沢タイプ」の若手の成長も、佐々木監督は期待している。【鎌田直秀】

 ◆猶本光(なおもと・ひかる)1994年(平6)3月3日、福岡県生まれ。小郡東野少年SCでサッカーを始め、FCリエート、福岡ANサテライトを経て、昨季まで福岡ANに在籍。家族は両親と兄と妹。158センチ、51キロ。