男女の活躍で沸いた五輪サッカーの次は、香川フィーバー!

 日本代表が13日、札幌市内で「キリンチャレンジカップ2012」ベネズエラ戦(15日、札幌ド)に向けて合宿をスタートさせた。約1時間半、完全非公開の練習を行い、日本代表FW香川真司(23)が英国の名門・マンチェスターU移籍完了後、初めて日本でプレー。到着した空港では早くも混乱、チケットはすでに完売、日本のサッカー熱をマンU香川がまだまだ、終わらせない。

 香川フィーバーの予感が、早くも充満していた。新千歳空港に降り立った香川を待ち受けたのは、人、人、人だった。テレビカメラとファンにすぐさま囲まれ、サイン攻めとエールの応酬。北の大地から熱烈な歓迎に、あらためて実感した。「五輪で男女が活躍して、さらにサッカーに対して目が向けられる。いいサッカーを披露できるようにしたい」。まだ冷めやらぬ五輪熱を受け“チャンスの波”に乗る覚悟を見せた。

 かつて4年前に自身も立った五輪のピッチで、躍動する日の丸を見て刺激を受けないはずがなかった。「国際舞台でやれることは、世代に関係なく大事なこと。厳しい予選(1次)リーグを、みんなの力で乗り切った。チーム力で戦っていた」。欧州で見守った男女五輪代表の活躍は、自身が出場した08年北京五輪で3戦全敗という過去とは違った。日本の活躍。マンU香川。周囲の期待感も、自然と膨らむ。

 マンチェスターU移籍完了後、日本初上陸を一目見ようと、チケットはすでに完売している。試合当日は4万人で札幌ドームが埋め尽くされる。昨年8月に2得点をマークした韓国戦以来1年ぶり。当時、香川獲得に向けて本格調査に入った英国の名門にアピールし、今夏の移籍へつなげた自負がある。「体調は問題ない。機内で休めたんで。9月のW杯予選にうまくつなげられるように、連係を確認したい」。自信があるのだろう。落ち着き払っていた。

 渡英しチーム合流から約1カ月。開幕スタメンに猛アピールの日々を過ごす。最後のプレシーズンマッチとなった11日ハノーバー戦では、ボランチで先発しながらも、途中からトップ下に上がりイングランド代表FWルーニーのアシストを受けて決勝点を挙げた。ここまで途中出場や、本職ではない位置での起用が続く。それでも「レベルが高く、毎日が刺激的な環境でやれている。けど代表は代表。気持ちを切り替えていいパフォーマンスを示さないといけない」と、日本の10番を背負うプライドをにじませた。

 南ア、中国、北欧、ドイツとツアーでの連戦の合間をぬって、2年間住んだドイツからマンチェスターへの引っ越しを完全に済ませた。「ドイツとは家のつくりもまた違って、新鮮ですよ。ピッチ外でも楽しんでいる」。地に足を着け、サッカーに打ち込む舞台は整った。「結果を残していけば、もっともっと知ってもらえるチャンスがある」。日本を、そして香川という選手を。【栗田成芳】