<親善試合:日本1-1イングランド>◇26日◇英バートンアポントレント

 なでしこジャパンが、これまで勝ったことのない苦手イングランドと引き分けた。1点を追う後半31分、FW大野忍(29=リヨン)がドリブルで攻め上がり、パスを受けたMF川澄奈穂美(27=INAC神戸)が右足で流し込んだ。ケガのMF澤穂希(34=INAC神戸)と出場停止のMF宮間あや(28=岡山湯郷)を欠いたチームは、20日ニュージーランド戦に続き、2戦連続ドローとなった。

 11年W杯ドイツ大会の1次リーグで敗れたリベンジはならなかった。佐々木則夫監督(55)は「勝ちにこだわりたい」と強調していたが、先行を許して引き分け。フィジカルで競り負け、パス回しでもお株を奪われた。失点の場面以外にも、相手の危険なスルーパスで決定的な場面を作られた。

 左足付け根を痛めた澤を遠征に帯同せず、20日のニュージーランド戦で退場となった宮間が出場停止。メンバー入れ替えを余儀なくされ、澤の抜けた守備的MFにDF熊谷を1列上げて起用し、空いたセンターバックにはDF長船を先発させた。

 なでしこらしさが見えたのは、大野が得意のドリブルで相手を引きつけ、川澄が同点ゴールを決めた場面。「立ち上がりはバタバタしたけど、自分たちの意図するところでゴールまで迫れた。失点は反省点ですけど、次につながる試合」と川澄。とはいえ完全に苦手を払拭(ふっしょく)するには至らず、対イングランドは通算2分け2敗となった。

 3月のアルガルベ杯では澤や宮間らを招集せず、チームは5位どまり。「今年1年は若手の底上げ・発掘」としていた佐々木監督の構想も方向転換を迫られた。育成だけで結果がともなわなければ女子サッカー人気がブームで終わってしまうという危機感。だからこそ、前戦ニュージーランド戦からは11年W杯、12年ロンドン五輪のメンバーを中心に戦うことを決めた。

 しかし、ここ2戦は勝利がなく2分けにとどまる。試合後、「前半から自分たちのやろうとしていたことはまあまあできていた。双方に良いところも反省もある。ニュージーランド戦と比べれば、今日はよくやってくれた」と平静を装った佐々木監督。ここからどうかじをきるのか。次戦29日のドイツ戦が注目される。